第11話

「いや、別にそんな純情ぶらなくても。」


高3なら普通だろ。

そう言いながら、私から視線を逸らすとルールが書かれたその紙に、異性の出入り厳禁と大きく付け足した。



純情ぶらなくても…?


ぶってなんかいない。



私はまだ純情なんですけど!!!!



とは、もちろん口には出せず…



まだ熱くなる体を必死に平常心へともっていくことに必死になる。



それにしても高3なら普通だろって、そんな常識、私にはない。




「こんなもんか。あとはお互い常識の範囲内で行動するってことで。」



すでに私の常識範囲外の発言だってこと、九条さんはわかっていない…



「…あの、リビングなんですけど。」



話題を変えたくて、気になっていたことを提案することにした。



「このまま、何も置かない感じですか?」



テレビやソファはもちろん、テーブルも何もない。



今だってこうして床に直接座っているわけでカーペットも、カーテンだってない。




逆にあるものと言えば、最初からついてきたのか、ダイニングスペースに置かれた食卓とイス。


そして、冷蔵庫。



殺風景にも程がある。



お互いに部屋があるのだから、リビングは大して重要ではないのだけれど…。



「せめて、カーテンは…。」



外から丸見えの窓がやっぱり気になるところ。



「あぁ…確かにな。」



少し考える素振りを見せた後、



「何でも良いから暇見て買って来てよ。お金は俺が出すから。」



「へ?」



「俺、平日は仕事だし。まだ春休みだろ?」




それはそうだけど…。

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