第5話

ちょうどお昼の時間。


空港帰りに適当に買った食材で、軽めの昼食をとることにした。


調味料なんかは元々家で使っていたものをそのまま持ってきたので問題ないとして…



こう見えても父子家庭歴が長いおかげか、料理は新米の専業主婦よりは出来るつもり。


何より料理が大好き。



ふふんと鼻歌なんか歌いながら、大好きなパスタを茹でながら、リビングを見渡す。


殺風景なそこは、これからどういう風になっていくのかな。



まだ名前も知らない同居人のお姉さんが来てから決めることになるとは思うんだけど…



あれ?そういえば、その同居人の引っ越しって今日だっけ?



契約関係は父に任せきりだったから何にも聞いてなかった。




そんなことを考えていると…






ガチャガチャ。




明らかに鍵穴が動く音。



タイミング良すぎでは?



一気に緊張がこみ上げてきた。




どうしよう、



どうしよう。




ひとまずパスタをザルに移し、エプロンを外して…


挨拶…






茅野千沙です。よろしくお願いします。




何度も心の中で唱えて、近づく足音に息を飲んだ。

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