第5話:せのは販売するグッズを決めるらしい

 小説、20冊。それは決まった。しかしそれだけではブースの中はまだ寂しい。

 調べたところ、長机1/2が基本的な1ブースになるらしいが、本1種類だけでは「なんかスカスカしてるわね」という感じだろう。

 なので、他にも何か出せるものを考えねばならなかった。


 幸いにも、せのはイラストが描ける。表紙も自分で描くつもりだし、年額で払っているイラストソフトは限界まで使い倒すつもりだ。

 加えて自宅にはプリンターもあった。つまり、ある程度の紙ものなら作ることができるということだ。


 想像しやすい、そして作りやすいものといえば、ポストカードやシールの類だろう。しおりやフリーペーパーも作成できる。

 というわけで、現段階の環境で作れるものはとりあえず挑戦してみようと思った。


 まず、ポストカード。ブースは基本おにくに関するグッズを置こうと思っているので、おにくの表紙やモチーフを描いたものを置こうと思っている。

 仕事の合間に描くとして、多分2種類だろうか。枚数はそんな嵩張るものでもないので、10枚ずつ持っていこうと思う。


 次にシール。しかしこれは迷う。

 名も知らぬ作品のキャラクターのイラストのシール……売れる、か?

 おまけでつくならまだしも、単体で買う方のことがなかなか想像できない。となると、これは一旦保留にしよう。


 しおり。これは無配でよく配られるものだと聞くので、購入特典としてシンプルな影絵のものなんかを作ろうとは思う。

 あると便利だと聞くので、おにく小説を読む中で少しでも使っていただけたなら嬉しい限りだ。念の為50枚刷っておこう。


 あとはそう、フリーペーパー。これはおにくの冒頭を印刷して試し読み版としてお渡しするつもりだ。

 見本誌を置いたりはするが、時間がなかったり手間だったりする場合、1行でも目に入れてもらえる可能性があるのはフリーペーパーだ。ここから導線に入ることも考えたら、50枚くらい刷っても別に良いだろう。


 あとは名刺。これも自分でデザインすればなんとかなる。

 同じく50枚くらい刷っていても良いだろう。嵩張らないし、再利用もできるからね。


 とりあえず、現段階で準備できそうなものをまとめてみよう。

 ・本20冊

 ・ポストカード20枚 (2種類、各10枚)

 ・購入特典しおり(50枚)

 ・フリーペーパー(50枚)

 ・名刺 (50枚)


 印刷機のインクが心配になりそうだが、本以外はなんとか作れそうだ。あとはデザインやらなんやらを頑張らねばならないが、未来のせのがなんとかしてくれると信じている。



 最低限これらはなんとかなるだろう。なら、他にも何か。せのは同人グッズ関連について調べた。

 缶バッジ、アクリルグッズ、クリアファイル……全部魅力的だが、上記のように素人の作品モチーフの物を一見さんが買ってくれるだろうか?

 あまりキャラキャラしていないものならワンチャンあるが、文フリではグッズはあんまり売れないとも聞く。となると、作っても在庫になるだけの未来が見えてきた。

 クリアファイルに関しては最後まで考えたが、これも一旦無しにする。本の売れ行きがわからないのに、グッズまで手を出すと痛い目を見そうな気がするからだ。


 それよりは、コピー本をなんとかしたほうがいいかもしれない。文学フリマにくる方は、基本文字を求めて来館されるのだ。

 となれば、おにく本やフリーペーパー以外にもコピー本があれば、安いし何かしら手に取ってもらえるかもしれなかった。

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