そわそわ?




 もとはといえばみんな彼の友だちなのだけれど、よく集まっている仲間たちがたくさんいる。彼が地元なので同級生や先輩後輩などでしょっちゅう集まっては飲んでいるのだ。その仲間の中のとあるカップルの結婚パーティーが明日行われる。

 困ったのは結婚パーティーなんて久しぶりだということ。私の同年代の結婚ラッシュはもうすでに終わっているし、この今の仲間たちの結婚パーティーも二度ほど出席させてもらったけれど、それももう十年も前のことだ。だからお洋服を買わなければいけない。お洋服だけじゃない。もう今ではヒールなんて履いていない。年中スニーカーだ。冬にブーツを履くくらい。さあ、彼のお友だちの奥様や彼女らと何着る談議の始まりだ。先週会った時はひとりはセットアップを買ってもらったと言っていた。それもかなりお高いものらしく、なにかで着れるようそんなに派手ではないらしい。もうひとりは普段からお洒落な服を着ているからきっとパーティーもお洒落で美しいのだろう。まだ決めていないと言っていたけど。私はというとずいぶん長い間ア○ゾンの奥地を探検していた。素敵なワンピースとかたくさんあるけれども何かいまいちピンとくるものがない。ふと思いたって家のクローゼットの奥をあさってみた。ああ、ああ、出てくる出てくる。結婚前に着ていたヒョウ柄のワンピースにヒョウ柄のミニスカートにヒョウ柄のワンピース(笑)。パーティーに着ていけそうなヒョウ柄の服が選べるほどたくさん出てきた。問題はどれも生地が少ないということ。そう。私は露出狂だったということを思い出したのだ。

 あくまでも結婚前のお話なので勘弁を。

 とにかく足を出すのは基本中の基本だった。夏はホットパンツだったし冬もミニスカートだった。なま足にハイソックスでブーツとか恐ろしいことをやっていた。肩も出すし背中の大きく開いた上着もよく着ていた。お洒落は寒さなんて気にしちゃいけないと思っていた。靴ももちろんヒールだった。スニーカーなんて持っていなかったかもしれない。そんな私の昔のお洋服だから生地が少ないのも納得だ。これを今着れるかどうか。サイズは変わってないから問題ないのだけれど、着れる勇気があるかどうか。

 本当は土曜日の私の誕生日の時に彼とお買い物に行こうと予定していたのだけれど寝込んでしまったから行けなかった。もう時間はない。そうだ。着るしかない。ヒールはア○ゾンの奥地から取り寄せた。アクセサリーは昔の物がたくさんある。彼も自分でスーツの中に着るピンクのシャツを買ってきていた。かわいい。準備は万端かと思っていた。私は忘れていた。長年のマスク生活で、もうほとんどしなくなったメイク。普段はファンデーションと眉毛を書くだけのメイク。しまった。口紅もマスカラもチークもアイシャドウも何も持っていない。仕事帰りに職場のすぐ近くにあるドラッグストアで購入してきた。ほっとひと息。あとはストッキングとご祝儀袋を買わねば。お金もおろさなければ。ああ、落ち着かない。他に忘れているものはないだろうか。とにかくお洒落をするのは久しぶりなのだ。嬉しいのは嬉しい。写真はXにあげるかもしれない。私の、たぶん最後のミニスカート姿を(笑)

 歳を重ねていくとお洒落する機会は減ったけれど、考えてみると世の中ではまだたくさんお洒落する場面はあるのかもしれないと思った。たとえば子どもがいるなら七五三などの何かのお祝いや入園式入学式、卒園式卒業式など子ども関連の行事があるのだろう。その度に世の女性たちは何を着ていこうか美容室はどうしようかとか悩んだりしながらそわそわするのだろうか。素敵なワンピースやスーツを買ったりヘアメイクをしたりするのはいくつになっても楽しい。気分があがる。でも何か理由がないかぎりお洒落しなくなってゆく。もっと世の中に、お洒落して出かけることが当然みたいなイベントか何かが増えないものだろうか。海外ドラマや映画のように、結婚しても彼とのデートはめちゃくちゃお洒落したり、しょっちゅう誰かがホームパーティーを開いてくれてお洒落して集まったり。そうしたら、私ももっとお洒落を楽しんでもっと見た目に気をつかって、きっともっと美しくなれると思うのに。

 そう思うのは自由、のはずなので反論コメントはお控えください(笑)





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