遺書?
こうも体調がすぐれないと脳裏に浮かぶのは『死』という文字だ。昨日仕事に行ったものの頭が痛くて具合が悪くなってきていつもより三十分ほど早く帰らせてもらった。皆さんがくれたコメントになんとか返信して少しだけ巡回するくらいはできた。そのあとまた頭痛がひどくなったからスマホとさよならしたのだけど、脳裏から『死』が離れない。
というのも、ここ最近知り合いお二方の、どちらもお姉さんが急死しているからなのだ。もちろんどちらもそんなに年じゃない。きっと四十代か五十代くらいだと思う。本当にたまたま偶然なのだけれど、どちらも寝ていてご家族がちょっと仕事や外出で目を離して戻ってきたら亡くなっていたそうで。人間って本当にいつ死ぬかわからない。どちらの知り合いもそのお姉さんとは一緒には住んでいなかったから、二人とも私に『家族とは会えるうちに会っていたほうがいい』と言っていた。わかってはいるのだけれどなかなかそう頻繁に実家に帰れるものではないのが現実だ。
それで私も『死』という文字がちらちらしているのだけれど、それは『死』そのものに対して考えているのではなくて、死んだあとどうなるのだろう、なんてことを考えていた。たとえばこのカクヨムのマイページやX、Discordのマイサーバーだ。頻繁に使っているSNSで、私が突然死したら誰か気づいてくれるのだろうか。急に返事もなくなってなんだよクロノヒョウのやつ無視しやがって、なんて思われたりしないだろうか。そんなくだらないどうでもいいことを考えていた。彼に私が死んだらカクヨムとXでクロノヒョウは死んだって伝えて、って言おうとしたけれど、彼はめんどくさがりだしSNSをよくわかっていない。私のスマホを操作できる気がしない。だからきっと無理だ。ああ、どうしよう。
皆さん、私がカクヨムにもXにもDiscordにも来なくなったらそういうことだとお察しください。本当に、いつ何が起こるかわからないので。
よし、なんだかすっきりした。
皆さんも家族や身近な人、愛するペットなどを亡くした経験はあるだろうか。私も父や祖母を亡くしているのだけど、今回はKくんの話をしようと思う。Kくんと出会ったのは私が地元でゴリゴリ音楽をやっている時だった。ミュージックバーでバイトしていたのだけど、そこに現れたKくん。音楽好きが集まるバーで、誰でも演奏できる素敵なお店だった。Kくんはドラマーで、ドラムを叩きにきたのだけど、車で来ていて、私は駐車場まで案内するために初対面のKくんの車の助手席に乗り込んだ。びっくりしたのはKくんの見た目もなんだけど、車も相当だった。Kくんは確か私の一つ年上で背が高くて細くて見た目はヤンキーそのものだった。ちょっとつり上がった切れ長の目。イメージは的場浩司さんみたいな感じかな。カッコよかったよ。そして車の助手席に座ってみると違和感が。小さな軽自動車なんだけど、足もとがなんかおかしい。何もないのだ。シートも何もなくてただの鉄板。私が不思議そうにしているとKくんは『軽くするため』か何か言っていたと思う。見ればサイドも天井もただの鉄板。ただの車の形をした鉄板の箱に座席とハンドルがついてる。そんな感じの車だった。初対面はそんな感じでとても個性的なKくんだったけれど、見た目や車と反してドラムはめちゃくちゃうまかったし性格は本当に温厚でゆったりしていて笑うとめちゃくちゃかわいかった。ただKくんは腸が弱いとかでご飯が食べれないと言っていた。何度かバンドとして一緒にあちこちでライヴして回った。その間もKくんは何度か入院したりしていた。お見舞いに行った時は細い体がさらに細くなっていた。でも普通に笑顔で話していたし、退院してはまたドラムを叩きにきてくれたり。Kくんと知り合って一年が経ったくらいだろうか。Kくんが亡くなったとの知らせをうけたのは。突然で何がどうなっているのか混乱してすぐには事態をのみ込めなかった。私よりもっとKくんと仲良かったベースも同じく受けいれられなかったようだった。音楽仲間とみんなでお葬式に行って眠っているKくんの顔を見たけれど、それでもまだ私たちは信じられなかった。
『死』というものは案外すぐ近くにあって、いつどういう形をしてやってくるかわからない。だからといって常に『死』について考えているわけにはいかない。私たちは『死』の前に、今を、これからを生きていかなければならない。ただ、突然死ということもありうると心のどこかに置いていれば、もっと自分の時間を大切に生きれるかもしれない。
ちょっとしんみりなお話になってしまったかもしれないけれど、皆さんも悔いのない時間を過ごしてほしい。やりたいことがあるのならやってみてほしい。私が突然死してもネット上で私の小説は生きている。それもいいかもしれない。これは遺書ではないのだけれど、もしかして遺書みたいな物を書いたりしたことがある人もいるのだろうか。宇宙飛行士は遺書を書くそうだし。
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