第2話 狩りとリン攻略

 エルルを攻略した翌日、俺とリンは街の外に向かった。今日もホーンラビット狩りをするつもりだ。


「なあ、ルーカス。本当にこの辺にホーンラビットが出るのか?」


 リンが疑わしそうに聞いてきた。ここは街を出てから1時間ほど歩いた森の中だ。周囲には木々が生えていて視界も悪い。だが、ホーンラビットの生息するエリアだ。


「ああ、この近くに出るはずだ」


 俺はゲーム知識をもとに答える。リンは疑わしそうにしながらも森の中を進んでいく。すると、茂みが動く音がした。俺たちは足を止めて音のした方を見る。茂みからホーンラビットが現れた。


「お! いたぞ!」


 リンは剣を抜いて構えた。俺も剣を構える。リンはホーンラビットに向かって駆け出した。ホーンラビットも俺たちに気づいて臨戦態勢を取る。ホーンラビットは前足を振り上げて飛びかかってくる。


「おらあ!」


 リンは剣を振るい、ホーンラビットの前足を斬り落とした。そのままホーンラビットにとどめを刺す。俺はその様子を見て感心していた。


「へえ、なかなかやるな」

「おうよ! もっと褒めてくれてもいいんだぜ?」


 リンはそう言って胸を張る。俺は無視して歩き出した。リンは慌てて追いかけてくる。その後も何度かモンスターと戦ったが特に問題なく倒すことができた。


「ルーカス、まだ着かないのか?」


 リンが疲れた顔で聞いてきた。そろそろ目的地に着くはずだ。しばらく歩くと開けた場所に出た。そこには大きな湖があった。


「着いたぞ」

「おお! これが湖か!」


 リンは目を輝かせて湖の側に駆け寄った。俺もその後に続く。湖は澄んでおり、底が見えるほどだった。水の中には魚の姿も見える。だが、モンスターの姿はない。


「ここにはホーンラビットはいないのか?」


 リンが湖を眺めながら聞いてきた。


「ああ、この周辺にはいないはずだ」


 ホーンラビットの生息地はもっと森の手前側だ。ここには生息していない。俺は湖の水に触れてみる。冷たくて気持ちがいい。


「……よし」


 俺は覚悟を決めると服を脱いで全裸になった。それを見たリンは慌てて後ろを向いた。


「お、おい! なんで裸になるんだよ!」

「ん? いや、水浴びしようと思ってな」


 そんな俺を見てリンはため息をついた。


「水浴びするなら先に言え」

「すまんな。リン、悪いんだが見張っててくれるか?」


 俺はそう言いながら湖に入る。少し冷たいが気持ちいい。リンは後ろを向きながら答えた。


「仕方ないわねぇ。今回だけだぞ」


 俺は水浴びをしながら周囲を確認する。モンスターはいないようだ。安心して水浴びができるな。しばらく水に浸かった後、岸に上がる。インベントリから取り出したタオルで体を拭いて服を着る。


「ふう、さっぱりしたぜ」


 俺がそう言っているとリンが声をかけてきた。


「ルーカス、終わったか?」

「ああ、待たせたな。リンも水浴びしてこいよ」


 俺がそう言うとリンは首を横に振った。


「いや、私はいい」

「そうか? 遠慮するなよ」


 俺はそう言いながらインベントリからタオルを取り出してリンに投げようとする。だが、リンは受け取ろうとしなかった。仕方なく俺はタオルをインベントリに引っ込める。リンはそのまま踵を返して歩き出したので後を追った。


 街に戻ると冒険者ギルドに立ち寄って魔石とドロップアイテムの売却をする。リンが倒したホーンラビットの魔石は9個、俺は5個だけだった。


「さて、今日も魔石を売ったから宿に帰るか」


 俺がそう言うとリンが否定してきた。


「おいおい、まだ帰るには早い。酒飲もうぜ」


 リンは酒が飲める場所を探して歩き始めた。俺は仕方なくついていくことにした。しばらく歩くと酒場のような店があった。中に入るとリンがカウンター席に座る。俺もその隣に座った。


「マスター! ビールをくれ!」

「あいよ」


 リンの声に反応して奥から出てきたのはまだ若い男だった。年齢は20代前半くらいだろうか? 金髪碧眼のイケメンだ。男は俺たちを見て少し驚いたような顔をした後、すぐに笑顔になった。そして、ビールをカウンターに置く。


「はいよ」


 男はビールをリンに、俺には水を出してくれた。俺は礼を言うと水を飲む。リンはビールジョッキを掴むと一気に飲み干した。


「ぷはあ! ああ、うまい!」


 リンは満足そうに言うともう一杯注文する。俺は水をおかわりした。しばらく飲んでいるうちにリンは酔いが回ってきたようだ。リンの顔が赤くなっている。


「なあ、ルーカスよぉ。私のような大柄の女は嫌いか?」


 リンのやつ完全に酔っ払ってやがる。


「まだ会って2日目だからなぁ」

「そんなつれないこと言うなよなぁ。マスター! もう一杯!」

「もうこれで最後ですよ」


 マスターは最後と言ってビールをリンに提供する。


「ルーカスはカッコイイな。まつ毛は長いし、目はキリッとしてて、鼻筋も通ってる。私のような女は嫌いか?」


 まさかリンは俺に好意があるのか?

 でも、リンは攻略対象じゃないんだよなぁ。


 ステータスを確認して、『ハーレムの王』を見てみる。


『ハーレムの王』人数上限なし

 攻略中

 リン

 第一段階攻略済み(キス)

 エルル

 第二段階攻略済み(セックス)

 ステータス150%


 なんと攻略対象としてリンが反映されていた。つまりはゲームの世界のキャラ以外の女も攻略できるということになる。しかもゲームの時は上限77たったのに、上限がないらしい。


 ハーレムを増やせば増やすほどステータスが向上する俺の固有スキル『ハーレムの王』が転生して改変されたらしい。


 なら、やることはひとつ。俺は方向転換してリンを口説くことにした。リンは正直、可愛い系の美少女というよりはクールビューティな大人の女性だ。しかも胸がデカイんだ。


 エルルははっきり言って胸がない。だが、リンはGカップはありそうな胸をしていた。巨乳の誘惑には勝てない。


「リン。今夜俺の部屋に来るか?」

「いいのか? 是非行きたいぞ」


 酔った勢いで口説き落とすのは少しはばかられるが、乗り掛かった船だ。どうとでもなれ!


 最後の一杯を飲んだリンを肩で支えながら宿屋に戻る。幸い、エルルはもう寝たようだ。


 俺の部屋に着くと、俺はリンと向き合う。


「リン。これから先、俺と一緒に冒険してくれないか?」

「ああ! もちろん。愛しいぞ、ルーカス」

「俺もだ、リン。キス、するぞ?」

「ああ」


 頷くと、リンは瞳を瞑った。俺はリンに優しく唇どうしが触れるだけのキスをした。するとリンは俺の口内に舌を入れてきた。ディープキスだ。


 俺はそのままリンの舌触りを堪能しながら、リンの服を脱がせ、自身も裸になった。


「リン、愛してるぞ」


 そして、俺とリンは一夜を共にした。




『ハーレムの王』人数上限なし

 攻略中

 第一段階攻略済み(キス)

 エルル

 第二段階攻略済み(セックス)

 リン

 ステータス250%

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