第3話 隠しエリアと金儲け
俺の固有スキル『ハーレムの王』の効果は2つある。
まず一つ目が俺のハーレムを形成する女の子達が互いに仲良くなる点だ。つまり、俺が何股しようと彼女たちは文句一つ言わない。ハーレムを成り立たせる必要条件だ。
そして2つ目がステータス倍化だ。キスで50%、セックスで100%ステータスが上昇する。
『ハーレムの王』人数上限なし
攻略中
第一段階攻略済み(キス)
エルル
第二段階攻略済み(セックス)
リン
ステータス250%
今の俺のステータスは2.5倍になっていて、正直かなりのチートだ。いずれノービスから転職するつもりだが、ステータス倍化はそのまま引き継がれる。
とまぁこんな感じだ。つまり、上限の無くなった今、女の子を落としまくれば、俺は最強になれる。
◇
朝、起きると横でリンが寝ていた。彼女の前髪を優しく撫でると、びくっと彼女は体を震わせた。そしてゆっくりと目を開けた。
「ルーカスか、私は……なに!?」
リンは自身が裸であることに気づいて驚いたらしい。
「ルーカス、まさか私はルーカスと一夜を共にしたのか?」
「ああ、そうだ」
「ん~!!!!」
リンは顔を赤らめて枕に顔を埋める。
「今日からリンは俺の恋人だ。よろしくな!」
「そうか、いや、分かった……。今後ともよろしく頼む」
服を着たリンと一緒に俺は朝食を食べるために食堂まで来た。するとそこには防具を着たエルルがいた。
「エルル、その格好は?」
「お母さんが買ってくれたの。私の冒険を認めてくれたんだ」
「そうか! それはいい!」
「その方は?」
「ああ、こいつは俺の恋人のリンだ」
するとリンは一歩前に出てエルルに挨拶する。
「私はリンという。冒険者だ。そして、ルーカスの恋人だっ!」
「私はエルルっていいます。私もルーカスの恋人です。よろしくお願いします!」
二人が喧嘩して争わないのは俺のスキル『ハーレムの王』のお陰だ。いきなり修羅場になるかと心配していたが、杞憂に終わった。
「今日は3人で冒険だ!」
俺たちは朝食を食べると、雑貨屋でポーションをいくつか買ってから街の外へと向かった。
そして向かうのは森。しかも、隠しエリアだ。エルルの経験値稼ぎ兼金稼ぎにもってこいの隠しエリアの名は『スライム洞窟』。
隠しエリアは昨日行った湖に流れる川の源流を遡った先の滝の裏側にある。俺たちは途中出てくるホーンラビットやゴブリン、オークなどを倒しつつその隠しエリアへと向かった。
「いいか、隠しエリアには7種類のスライムがいる。スライム、レッドスライム、ブルースライム、グリーンスライム、シルバースライム、ゴールドスライム、そしてレインボースライムだ!」
「物知りだね」
「まあね」
滝まで到着すると、一人ずつ慎重に滝の裏側へ岩場を伝って俺たちは向かう。
「ここからは俺とリンで戦闘する。エルルは俺らが被弾した時にポーションを投げる役を頼む」
「わかった!」
「あいよ!」
早速、洞窟を攻略するとしますか!
先ず最初に出てきたのは何の変哲もない普通のスライムだった。リンが一撃を入れて倒した。小石サイズの魔石がドロップする。
「よし、先に進むぞ」
俺たちは洞窟の奥へと進んだ。すると今度はレッドスライムが2体出てきた。
「レッドスライムは火炎魔法を使うから、注意しろ!」
「ふふん! 魔法には当たらないわ!」
リンが瞬く間に一匹のレッドスライムを討伐する。リンは腰に両手を当てて胸を張った。だが、ドヤ顔のリンをあざ笑うかのようにもう一体のレッドスライムがリンの顔面に向かって飛びかかる。それを間一髪で避けたリンは「あぶなっ!?」と叫んだ。そしてカウンターで一撃を入れる。またもドヤ顔をかます。
「リンさん凄い!」
エルルが感嘆の声を出す。するとリンはえっへんと誇らしげに微笑んだ。
さらに先へ進むと今度はブルースライムとグリーンスライムが現れた。
「ブルースライムは水魔法、グリーンスライムは風魔法を使う。リン、注意しろ。俺がブルースライムを狩る。リンはグリーンスライムを頼む!」
「了解!」
リンはグリーンスライムの元へかけ出し、一突きで倒す。するとグリーンスライムの体液が飛び散った。
リンがグリーンスライムの体液を浴びて悲鳴を上げている中、俺はブルースライムを『ノービスの一撃』で討伐した。
その後も俺たちはスライムたちを倒しつつ奥へ奥へと進んでいく。
シルバースライムは防御力が高く、ゴールドスライムは体力が高い。シルバースライムは銀塊をドロップし、ゴールドスライムは金塊をドロップした。これがめちゃくちゃ金になるんだなこれが!
6種類のスライムを倒しつつ洞窟内を進むと、突然、洞窟内が大きく揺れた。どうやらボスエリアが近いらしい。俺とリンは武器を構え、エルルは後方でポーションを手に奥へ向かった。
「流石にボスは強敵なはず……気を引き締めていこう」
俺が喝を入れるとリンが活気よく「あいよ!」と返答した。エルルは恐る恐るといった感じだ。
そして俺たちはボスエリアへとたどり着いた。その広さは小学校の体育館くらいだろうか? 天井も高く広い場所である。その中央には巨大なスライムが鎮座していた。
「でけぇな……レインボースライムだ」
7色に輝くレインボースライムは通常のスライムの5倍くらいの大きさだった。ゲームで見た時より迫力がある。
「これは流石に私一人じゃ無理だぞ!?」
リンが慌てている。俺はリンを落ち着かせ、作戦を話した。
「いいか、俺がまず『ノービスの一撃』で奴の体力を削る。そして、俺が離脱したらリンは身体強化を使え。そして剣戟でレインボースライムを倒すぞ」
「分かった」
俺は早速『ノービスの一撃』を発動し、レインボースライムに向かって駆け出した。レインボースライムは俺に向かって水魔法を放つがそれを回避して攻撃する。よし、一撃入れることに成功した。
リンの方を見るとリンの身体が淡く光る。『身体強化』だ。リンは身体強化を発動すると一瞬でレインボースライムの元へたどり着き、剣戟を浴びせた。
「よし、後は頼んだ!」
「おうよ!」
俺は『ノービスの一撃』を発動しつつ、レインボースライムの攻撃を回避する。そしてさらに剣戟を浴びせるリンの援護をした。俺とリンは休むことなく攻撃を続けていく。するとやがてレインボースライムは体力が0になったのかそのまま溶けて消えてしまった。ドロップアイテムとしてレインボーバングルが出た。
「これはなんだ?」
リンが尋ねてくるので俺は答えた。
「レインボーバングルだな」
「どんな効果があるんだ?」
「リン、付けてみな」
「いいのか? なら早速付けるぞ」
レインボーバングルの効果は2つ。防御力10%upと体力10%upだ。これは戦闘職のリンが付けるべきだろう。
「レインボーバングルはリンのだな」
「ありがとう、ルーカス」
部屋の奥には二つ宝箱があった。銀の宝箱と金の宝箱だ。
「私、宝箱開けていい!?」
エルルが興奮気味に聞いてくる。こいつ冒険に憧れてるだけあって、冒険の醍醐味の宝箱に興味津々のようだ。
「いいぞ!」
俺は許可を出した。
「やったー!」
歓呼とともにエルルは銀の宝箱を開けた。すると中には銀塊と何やらネックレスが入っていた。
「これは?」
エルルが尋ねてきたので俺が説明する。
「これは『シルバーネックレス』だ! 防御力15%上昇するんだよ」
「すごいね!?」
エルルが驚きの声を上げる。
「このシルバーネックレスもリンのだな」
「え? いいのか?」
リンは少し遠慮している。
「リンには前衛として機能してもらいたい。一番被弾する可能性が高いタンクだな。だからシルバーネックレスもリンのだ」
「ありがとう。有難く受け取らせてもらう」
そして最後は金の宝箱だ。エルルがまたしても開ける。出たのは金色に輝く指輪だった。
「これはゴールドリング?」
「そうだぞ、エルル。効果は体力15%upだ。これもリンのだな」
「何から何まで申し訳ないな」
「いいんだよ、その分前衛として活躍してくれ!」
「ああ、必ず! ところでルーカス。ルーカスは前衛じゃないのか?」
「それ、私も気になってました。ルーカスはノービスですよね」
「俺は転職して魔法使いになる予定だ」
魔法こそ異世界ファンタジーの浪漫だ。俺の職業ノービスはなんにでも成れる可能性の塊のようの職業なのだ。もちろん条件はあるが魔法系統への転職も可能だ。
「それって出来るの?」
エルルが聞いてきた。
「ああ、出来るぞ」
「ルーカス。魔法使いはその家系に居ないと成れないと聞いたことがあるぞ。成れるのか?」
「ああもちろん」
俺は自信を持って返答する。
ノービスは可能性の塊だが、それは逆に言うと成長前の最弱職ということ。魔法使いになるためにはある条件を達成しなきゃいけない。俺は魔法使いになるためにある女性の元を訪れなくてはならない。
それが次の攻略対象の魔導士イスカ・レーライン。攻略難易度Bで彼女は隣町セカンディアに住んでいる。
次の目的地はセカンディアだ。
◇
街に戻りギルドにてスライム達の魔石や銀塊、金塊を売った。そしたらなんと金貨75枚、銀貨32枚、銅貨40枚になった。3人で均等に分けるとエルルが聞いてきた。
「私、なにも役に立ってないよ? こんなに貰えないよ」
「なに、エルルの作ってくれた昼飯の分だと思ってくれ」
洞窟で休憩としてエルルお手製のサンドイッチ弁当が振る舞われたのだ。それが美味いのなんの! やはり冒険にエルルは必要だったとヒシヒシと感じる。
宿屋に帰ると夕飯の時間だった。夕飯を食べながら今後の方針を二人に語る。
「エルル、リン。俺はもうこの街ですべきことは終わったと思ってる。明日セカンディアに出発しようと思う。どうだ?」
「私は賛成だぞ」
「私もそれでいいと思います!」
こうして俺達は第二の街セカンディアへ行くことになった。
◇
セカンディアの街の離れた場所に一つの家が建っていた。そこに住まうは魔導士イスカ・レーライン。今、彼女はある儀式をしていた。
「運命の人の訪れ、ね」
預言を得意とするイスカは自身の運命の人がもう時期現れるという預言をした。
「どんな人なんだろう、楽しみ」
一人微笑むと、彼女は儀式を再開した。
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