6.ユウタとおばあさん①
「そう言えばユウタくん、もう夏休みも中盤に差し掛かっているけど、宿題はちゃんと進めてる?」
もはや自分の孫であるかのようにそう問いかけるおばあさん。
対してユウタは何を当たり前な、と言った様子で鼻高々と「もちろん!もう全部終わったよ」と言う。
おばあさんは「まあ、夏休みもまだ中盤なのに、偉いわね」と心から感心した様子で答えた。
「早く終わらせたら、思いっきり色々な事して遊べるでしょ。だから頑張るんだ」
「なるほど。私の孫たちったら、いつもギリギリまで溜め込んじゃうから、ユウタくんを見習ってほしいものね」
後ろで手を組みゆっくりあたりを見渡しながら歩くおばあさんは、先ほどまで「会っていた」自身の家族を引き合いに出しユウタを褒める。
そのままユウタの方を向き「これからもその気持ちを忘れちゃダメよ」、と人差し指を顔の前で立て目を細めながらユウタに向かって言う。
その仕草が妙に面白く感じ、ユウタは思わず笑い声を上げた。
「なにそのポーズ、可笑しいの」
予想していなかった反応が返ってきたことに可笑しく思い、「えぇ、そうかな」と言いながらおばあさんも笑う。
「最近の小学校の宿題はどんな内容なの?何か大変なものはあった?」
自分の孫にはこんな事聞いたらお節介がすぎると嫌がられてしまうと思い聞けなかった事だが、今日知り合ったばかりのユウタに対してはそういった感情は湧かなかったため、おばあさんは自身の興味に従ってユウタに質問する。
「えっとね、色々な宿題があったけど、社会の宿題が大変だったかなぁ」
ユウタは歩き疲れたのか、その場に体操座りの姿勢で腰を下ろしながら答える。
おばあさんもそれに合わせて近くに腰を下ろす。
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