3.光を追い、彼は行く②

 光を追う道の先は、これまで進んでいた獣道より更に荒れた様相をしている。足元は枯れた枝葉が積雪したかのように敷き詰められ地面を隠している。幸いにも速歩きはできる程度の深さだったが、注意深く進まなければ、足を取られて怪我をしてしまいかねない。


 生い茂った木々により視界が狭くなっている。


 視界の先で光が小さくなっていくのが見える。


 ユウタの視線は光に釘付けとなる。

 先ほどまで感じていた不安など露と消えたかのように枝葉を踏みしめ光を再び追いはじめた。





 どれくらい進んだだろうか。


 速歩き程度のペースとは言え、もう随分と長い時間歩き続けていたためか、ユウタの息は少し上がっている。疲れを取るために少し休憩を取りたいという思いと、光を見失いたくない、という思いで板挟み状態だ。


 余計な事を考えながら進んでいるせいか、ユウタはこれまで以上に体力が消耗している事を感じていた。


 削られた体力がユウタを徐々に現実へ引き戻す。



 これ以上奥に進んだら、戻ってこられないかもしれない。



 そんな考えが頭によぎった時だった。

 光の進む先から明るい陽の光のようなものが差し込んでいるのをユウタは捉えた。



 差し込む光がユウタの心を掴む。



 現実に戻りかけた意識が再び白昼夢へと還る。



 ユウタは全力で光の差す方へ駆け出した。

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