3.光を追い、彼は行く①
ユウタは、しばらく広場に続く道を歩いていた。
相変わらず光は留まる事なく一定の速さで進み続けている。
ユウタはひたすらそれを追う。
ユウタと光の進路は広場に続く道から外れ、既に獣道を進んでいるが、ユウタ自身はその事に気付いていない。
進む道はひたすらに木々が高く生い茂っており、あたかも山に入ってきたモノを自分の体内に取り込まんとするかのようにざわめいている。
木々が高くそびえ立っているためか、山の高さに似つかわしく無い仄暗さを森は醸し出している。
蠢く森林たちに、畏怖の念さえ抱いてもおかしくない状況のはずだが、ユウタの視線は周りのそれを捉えることはない。
ただひたすらに、同じモノだけを見つめている。
しばらく一定のペースで進んでいた光だが、少しの時間だけその歩みを止めた。
それに気づいたユウタも釣られて歩みを止める。
しかし、距離を詰めるチャンスと気付いたユウタは再び歩き出し、光との距離を詰める。
だが、光はすぐさま今まで進んでいた方向とは別の方向に進み始めた。
_____見失っちゃう……。
ユウタは自分の現在位置が既にいつも使っている広場への道から外れていることに気付く。
現実に引き戻された感覚を覚えたユウタは足元を見つめ逡巡したが、すぐさま光が進んでいく先を見据えた。
光の進む先はここまでの道以上に樹木が生い茂り、より一層深い緑色が辺りを覆っており、ユウタの不安を煽る。
だが、視界の端で光がどんどん遠ざかっていくのを確認し、再びその歩みを進め始めた。
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