5.駄菓子屋にて待つ④

 どこへ向かうのか、と思いながらしばらく追いかけていたが、その行先が何となく分かってきた。


 光はどうやら、駄菓子屋の裏手にある小さな山に向かっているようだ。


 標高は全然高くないが、子供が一人で山頂に登るには少し無理があるサイズの山である。

 山の中腹部くらいに、開けた広場が一つあり、子供の遊び場や、散策をする場所として利用されているが、この山の中に入る唯一の整備された道は、その広場がゴールとなっている。

 山頂への道も含め、他は放置され獣道と化している。


 ユウタは光の「歩み」に導かれるかのように、山の中へと進んでいく。


 そこにあるのは、珍しいものを見た時のような、わくわくとした好奇心ではなく、

 白昼夢を見るかのような感覚であった。


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真夏の夢、記憶 松本啓介 @guencock_wp

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