3.駄菓子屋にて待つ②
今日は、いつも一緒に遊んでいるリョウタとコウジと共に隣町にある大きなカードショップまで出かける約束をしている。
隣町までは自転車を走らせておよそ二十分かかる。
お昼ごはんを食べた後、午後一時半に駄菓子屋前に自転車で集合、と三人で約束をした。
宿題を終え開放感に包まれているユウタは、昼食をさっさとすませて、三十分前の午後一時には駄菓子屋の前に到着していた。
母からもらった五百円のおこづかいの一部を使って購入したアイスを食べ終え、ふと店内の時計に目をやると、集合時間の午後一時半を過ぎていた。
「二人ともまだかな」
ユウタは食べ終えたアイスの棒を見る。
くじ付きのアイスで、当たればもう一本タダでアイスが食べられるのだが、残念ながらハズレだ。
ユウタは再び時計を見る。
一度家に戻り二人の家に電話をかけようかと考えた。
しかし、家に戻っている間に入れ違いになってしまったら、二人に迷惑をかけてしまうと思いやめた。
また、駄菓子屋の店主にお願いをして電話を借りる、と言う案も頭によぎったが、駄菓子屋の店主はあまり愛想が良くなく、お願いをして怒られても嫌なのでその案は流した。
結局、もう少し待とう、と言う結論に至ることになる。
______友達に約束を破られてしまった。
再びアイスの棒を見つめる。
今湧き上がった気持ちが何なのか、自分でもハッキリとは分からない。
ただ、心がモヤモヤとしている様な、思わず顔を強張らせてしまうような、そんなイヤな感情である事は理解できた。
そんな感情を自分が抱いている事自体に驚くとともに、二人の顔が頭に思い浮かび、自己嫌悪に陥りそうになる。
「もう一本、アイス買おうかな……」
自分の気持ちを紛らわせるために、ユウタはベンチから立ち上がり、駄菓子屋の店内に足を運んだ。
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