2.駄菓子屋にて待つ①

 正午を過ぎたばかり。


 ジリジリと暑さが空気を覆う中、ユウタは自宅近くにある駄菓子屋にて購入した棒アイスを片手に、駄菓子屋の店頭に設置されたベンチに座っていた。


 日射しが強く、それでいてジメジメとした空気が身体中にまとわりつく。

 首周りからはジワジワと汗が滲み出て、襟から徐々にシャツの色を変えていく。


 ユウタはアイスを一口噛る。


 今は、夏休みが中盤をすぎた辺りだ。何とか宿題をやり終えたユウタは、残りの日を楽しもうと意気込んでいる。

 友達と公園で遊んだり、誰かの家に集まってゲームをしたり、あるいは友達の家族とどこかへ一緒に出かけたり……祖母と祖父の家に行く予定もある。


 ユウタにとって夏休みに体験する事は何でも特別なものだ。

 どこかへ出かける事は言うまでもなく、普段通り友達と集まって遊ぶ事だって同様である。


 普段、授業後の夕方に集まるのとは一味違うのだ。


 ユウタは、これからやってくる楽しみを一つずつ思い浮かべながら、少しずつ溶けてゆくアイスをまた一口噛った。

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