第5話

「マシュマロ?」


「やわこくて小さいやないですか。やから大事にせんと」


「物理的過ぎるだろ」





話が逸れたのをいいことに、私は「御手洗行ってきます」と席を外す。





「末廣ちゃん、俺が護衛しようかあ?」


「留年確定の前田くんは黙ってろー」


「うるせえな」




靴が散らばる中で、端っこの方にちょこんと並ぶ自身の靴を履く。その隣に、サイズの大きな赤いスニーカーもきちんと揃えてある。


こうして正しく並んでいる方がむしろ目立つほどの汚さに、また、溜息。



御手洗に向かう途中で後ろから追いかけてきた知らない男に話しかけられ、私はげんなりとしながら個室トイレへ逃げた。





「はあ………」





やけに広い個室トイレの洗面所を正面に大きな溜息が零れる。



コットンや綿棒、ハンドクリームにナプキンまでやたらとアメニティの充実した洗面所付近。個室トイレの方がよっぽど居心地がいいと思ってしまう始末だ。

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