第4話
消え入りそうな声はもはや消えている。心臓が飛び出そうなほど緊張しているのを、きっと誰も知らない。
「ちょっと江口ぃ!末廣さんのこといじらないで。うちの大事な部員なんだからぁ」
私の隣にいた同じ天体サークルの真川さんが口を挟む。助け舟に感謝しながらウーロンハイに口をつけて逃げる。
「末廣さんと男の噂が途絶えないのもアンタみたいなやつがいるからなんだからね?」
「……」
隣の真川さんは笑っていたが、その顔に本当の笑みなど含まれていなかった。敢えて隣の私を見ないのも、イケてる寄りの江口さんに向ける視線の熱も、恋愛が絡むとよく起こる現象だった。
ああ、うんざりだ。
私が目を伏せかけた時、ハイボールを飲んでいた撫木が人懐こい笑みを浮かべたまま言った。
「女のコはマシュマロ言いますもんね」
撫木の言葉に、江口さんが眉根を寄せ首を傾げる。
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