第6話
「帰りたい」
スマホを開き、毎週更新される恋愛漫画を1話だけ読み、心を鎮めてから外へ出る。
ぎゃははー、わー、どっ、きゃーっ、やばー。乱雑に飛び交う声に思わず眉根が寄る。
ふたつのサークルが陣取る座敷へ戻る最中、先程まで聞いていた江口さんの声が廊下まで飛んでくる。
「俺ガチで末廣ちゃんお持ち帰りしてえなあ」
ギョッとして身体が硬直する。そのまま動けずにいる私の耳に、新たな声がやってくる。
「まだ呑みなれてないからいけるべ」
「感想聞かしてくださーいっ」
「男ってほんとしょうもなー」
「男子ウケする女のコと女子から好かれる女子ってぶっちゃけ全然違うしねぇ」
「え?それってお前らは末廣ちゃんのこと嫌いってこと?」
「なんでそういうの言っちゃうかな。まじ空気読めし」
男女混合になると恋愛話が8割を占める。それ以外の2割は本人抜きで交わされるクソみたいな会話だ。
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