第12話

(気持ち悪い…嫌!!)



すっかりと酔いが廻っていた私は、体に力が入らなくて、避けようとしても先輩の力に飲み込まれていく。


周囲の皆も酔って大騒ぎしていたから、私の様子には気付いてくれない。



どうしようも出来なくて、きつく目を瞑った。





「先輩!何やってんだよ!!」





突然怒鳴り声と共に、いきなり先輩の体が私から離れていった。



目を開けるとトウヤがもの凄い形相で先輩を睨み、後ろから引っ張って離してくれたようだ。




その様子に、盛り上がっていた空気が冷め切って、皆がこちらを凝視しているのが見える。




私は先輩からの行為に驚きと気持ち悪さで涙が出てきて俯いていると、誰かに包み込むように優しく抱き締められた。



「ルイ、大丈夫?」


マナだった。



「うん…、平気だよ。」


「ルイ、今日はもう帰ろう?」


「うん。」



私の言葉を聞き届けると、マナは私を引っ張り、立ち上がらせようとしてくれる。



だけど、それまでかなりの酒を飲んで、すっかり酔ってしまった私は、頭がクラクラして立てなくなってしまっていた。



そんな私の姿に気がついたようで、トウヤが『はい』と背中を向けてくれて、おぶって私を外まで連れ出してくれた。

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