第4話
予想した通り
ほんとになんというか、礼を欠かさない律儀な人である。
と、少し開かれたドアの隙間からちょこっと顔を出す
「すみません、定時間際に」
入室した
「大丈夫ですよ。それよりプレゼンのほうはどうだったんですか?」
少々緊張の面持ちで訊ねると彼女はこくりと頷き、その
つまり望むべき結果を得たのだろう。
「おかげさまで。機能試作に進めることになりまして」
「そうですか。それは良かったですね」
機能試作に進む。それは次ステージに向け、一定の予算が下りたことを意味する。
「はいっ。といっても商品化にはまだまだ遠いですけど。でもほんとに、
今朝始業早々、
正直あの時はこっちも焦った。
時間制限有り、一発勝負の
「礼なら
「そっか、今日は君が沢山頑張ってくれたんだもんね。ほんとにありがとう」
御礼の言葉を口にしながら、慈愛に満ちた優し気な眼差しをプリンターにへと向ける
なるほど、たしかにその姿は聖女様と重ならなくもない。
そんなある種感心の想いで眺めていると、今度は不思議そうな眼をこちらに向けてくる彼女に気が付いた。
「どうかしましたか?」
「いえ。この子、男の子なんだなぁと思って」
「え……」
そういえば。
たしかに俺、さっきプリンターをこいつとか彼とか呼んでたか。
どうしてそんな風に言ったんだろう……。
自分でも不可思議に思い小首を傾げていると
「無意識だったんですね。でも、それって
「まあ……そうかもです。実はこいつ、前職で使ってた
「だからかぁ。実は私、
「え。そんな風に見てたんですか?!」
不意を突かれ慌てる俺を見て
ほんと油断も隙も無いとはこのことだな。小まめに掃除してて良かった。
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