第11話

「これは推理ですけれど。


 あなたたちはもともと準備室にいた。

 彼の意識を何らかの手で失わせ、あなたは彼を運び、扉の前に立ちドアを開け、突き飛ばした。

 準備室と美術室の窓を開けておけば、後から証拠を回収できると考えていた。


 彼の飲み物に何か混ぜましたか?

 …それは処分しましょう。


 彼が死ななくて、よかったと私は思っています。

 ちゃんと、生きて、復讐できるからです」


「…写真…ヌード写真を撮られてました」


「携帯…準備室ですね?」と言うと、先輩は頷いた。


「…そこから脅されて」


「もう、それ以上言わなくてもいいです。それより、早く飲み物を捨てましょう」


 机の上にあったコーヒーを捨てて、新しく淹れ直して置いておく。


「こんなことして、あなたにまで」


「大丈夫。それより、携帯どうしますか? 初期化しますか? それともパスコード…」と机にある携帯をハンカチで掴んで画面を確認する。


「パスコード?」


「指紋、残ってるようですけど。四つの数字の羅列…4588の順番…」


「分かります。8ではさんだ5月4日です。誕生日だそうです」


 携帯は解除されて、写真のデータを彼女のスマホに転送した。


「うーん。でもこれ…このまま持って行った方がいいかも。本当に頼れる人に相談することをお勧めします。学校内でも外部でも構いません。あなたが苦しむのは間違ってます。一人で行けますか? 付き添いましょうか?」


 しっかり私の顔を見て、首を横に振る。

 それを見て、その場を後にした。


 廊下に出ると、校庭で部活動をしている様子が見える。あのクラスメイトは参加に遅れて、怒られているのか、ひたすら頭を下げていた。


 五月は眩しい光でどこもかしこも輝いている。


 眩しすぎる光に目を細めて、帰る準備をするために教室に戻った。

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