第3話 武器防具屋
盾に重なった剣のマーク。
その下には、謎言語で「武器防具屋」と書いてあるのが分かった。
俺はその店に入った。
「はいらっしゃい。異邦人か?」
甲高い声で言ったのは、お会計場からなんとか顔が出ていた男の子だった。
「どうも。最近この街に来ました。」
「へー、こんなヒョロガリな大人はじめて見た。っはは!」
(客に対して、失礼なガキだ。)
「両親はどうしたの?」
「ママはお買い物してる。パパはギルドか、壁外とかにいるんじゃない?」
石造りの地面に壁。そこには、様々な武器や防具があった。
左側には、防具立てに多種多様な鎧が装備されていた。
右側には、普通のよく見る武器は雑多にカゴに分類して入れられており、見栄えの良い、豪華だったり歪だったりする武器は値段とともに壁に飾ってあった。
剣、大剣、双剣、レイピア、弓矢、槍、ハンマー、斧など。
大剣やハンマー、斧は、たしかに男のロマンだ。
しかし、このやせ細った腕では、相手の骨を砕く前に自分の骨が先に折れることは明白であった。
よく見る中世のブレードソードを試しに手に取ってみた。物凄く重い。
両手で何とか持てたが、構えるのだけで手首が限界だ。
どんどんと刃先が下に下がっていく。
「はぁ。」
無意識にため息が出ると、お会計場から、クスクスと笑い声が聞こえてきた。
「笑ってないで、店員なら何かアドバイスないの?」
「そうだね〜。筋力がないなら、双剣、レイピア、槍とかでいいんじゃない?」
「まぁ、そうなるよね。」
双剣を扱えるほど、身のこなしや素早さに自信はない。
そうなるとレイピアか槍だが、槍術は応用が効かなそうだし、正直、刃先が短く、持ち手が長いのがなんか苦手だ。
消去法でレイピアになった。
(幸い、生物の急所の位置はだいたい分かる。
これなら等身大のモンスターなら倒せそうだ。)
と思って、一番安価で細身のレイピアを持ったが、普通に重かった。
片手でも一応は振れるが、しっかりと扱えるようになるには、時間が掛かりそうだった。
(それと、遠距離武器の弓矢も欲しいな。弓引くのは技術らしいし、FPSで鍛えられたエイムにも自信はある。
軽い装備も欲しい。胴、上腕、前腕、太もも、すねの軽い皮のプレートも買うか。)
俺は一番安価なレイピア、弓一本と矢10本、プレート9枚買った。
「あざーっす。合計金貨3枚と銀貨2枚になりまーす。」
思いのほか高かったが、命をかけて稼ぐならば、これくらい掛けてもいいだろうと思った。
俺はそれを購入し、背中に弓矢を背負い、腰にはレイピアを、全身にはプレートを装着して、店を出た。
店を出ると、一瞬斜め正面の路地裏に人影が見えた。
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