イマジナリーフレンド
NARU
第1話 プロローグ
「本日の東京の最高気温は35℃です。熱中症予防のために水分を取ったり、なるべく屋内にいるようにしてくださいね。」
朝の情報番組のアナウンサーがそう言っているのを聞きながら朝食を食べていると、仕事に行く準備が終わったらしい母がリビングに来た。
「あら、今日も暑いのね。」
「うん、35℃だって。」
「私たちが子供の頃はここまで暑くなかったのに、、、っていけない仕事に遅刻しちゃう。千佳、学校行く時ちゃんと鍵かけていってね!」
そう言いながら、母は家から出ていった。
「はぁ。学校行きたくないな。」
学校は普段からめんどくさいと思っているが特にこの夏休みの時期だけは行きたくない。
別に友達がいないってわけじゃない。むしろ友達はいる方だと思う。普段の昼休みだって友達と一緒に遊ぶ。だけどこの時期だけは行きたくない。だってこの時期に学校に行く理由は一つしかない。
それは「プール」だ。うちの小学校は毎年夏休み中も週に何回か学校に行ってプールで泳がなければいけない。もちろん、強制とかではない。実際受験生である私たち6年生の中で何人かは受験をするので塾があるからいけないと聞いた。だけど、それ以外の人は大体プールに参加する。
「私も中学受験したいっていえばよかったのかな、、、」
そう考えていると、テレビは気象情報のニュースはとっくに終わっていて別の話題になっていた。テレビを消して私は昨日用意していたプールバッグを持って学校に行った。
学校に着いたら、先生にハンコをもらうカードを出さないといけない。そしてハンコを押してもらったらカードを置くケースにカードを入れて更衣室に向かう。いつもより早めに出たので今日はそんなに並ばないだろうと思っていた。しかし学校に着くともう既に他の生徒が沢山来ていた。私も並んで待っていると後ろからトントンと叩かれた。
「千佳、おはよ!今日は早いね!」
「真由美!おはよう。何かいつもより早く起きちゃったから早く来たんだ。」
相手は私の友達の一人である真由美だった。彼女は私と保育園の頃からの付き合いなので1番長い友達で親友だ。
「今日も暑いね〜この暑さだったら地獄のシャワーも天国のシャワーになりそう。」」
「そりゃ暑いよだって今日最高気温35℃って言ってたよ。」
そんな話をしていると、いつの間にか私の番が来た。
「関先生おはようございます。」
「はい!おはよう!プール今日も頑張ってね!」
「はい。」
カードにハンコを押してもらってケースにカードを置いた。
「じゃあ真由美私こっちだから。」
「うん!あとでね!」
真由美と別れてある場所へ向かう。
ドアの前に立ち深呼吸をしてノックをする。
「失礼します。」
ドアを開けると、そこには先生たちが沢山いる職員室だった。
「あら、千佳ちゃんおはよう。今日も暑いのに頑張ってきて偉いわね。」
「そんなことないです。」
「素直に認めてもいいのに、今開けるわね。」
副校長先生が鍵を持って応接室へ向かった。
私はプールでみんなと違うことが二つある。それは「着替える場所」だ。
イマジナリーフレンド NARU @narukama
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