第4話:五叡人VSブタバナ派 ~ 大義ある殉職を
ブタバナの殴り込みにエニシゲがたじろぐ最中、背後から突然届いてきた第三者の声。
一同が声のする方向を一斉に振り向くと、そこにはまるで後光の様に外の光を背後に受ける二人の人物。
やがてフロア中央まで歩き進んで来た大物二人の正体を、周囲の面々は視界に捉える。
「なんじゃい、貴様らは?」
大物政治家を目の前にしても一切怯む様子を見せない二人の男女。
やがてアメジスト色のスーツに身を包む西洋人女性が自身の正体を明かす。
「これはこれは、お初にお目にかかる。私、国家免許センター幹部が一人、プセアピバコという者です。以後お見知りおきを」
「プセ…なんだぁ?」
「差苦狩党党首ブタバナ氏とお見受けする」
「貴様、この若造の上司か?」
「ふふ、"五叡人"と言った方が分かりやすいかな?」
「!!」
政界でも風雲児として噂されていた"五叡人"の登場に、ブタバナをはじめ周囲がどよめく。
続いて、オーバル型の眼鏡をかけたもう一人の五叡人がブタバナへ名乗る。
「初めまして、同じくウワグツという者です」
これまで謎に包まれていた権力組織の幹部登場に、ブタバナや派閥議員たちは一様にたじろいでいた。
「あ、あれが五叡人…」
「すげぇ、初めて見た…」
「この国を救った英雄だぜ!写メ撮っていいかな?」
二人が放つ圧倒的なオーラは、確実にその場を支配していた。
しかし、やがて息を吹き返したブタバナが攻撃の対象を二人に切り替える。
「ほぉ、五叡人だと?つまり、この暴挙は貴様らの気狂いというワケだなぁ?」
「暴挙?気狂い?果たして何のことかな?」
「ぬかせぇ!貴様らの独断と偏見で人殺しを容認する法案なぞ許されるものかぁ!今すぐこの場で立案も投票も中心しろ!」
プセアピバコに食ってかかるブタバナ。
すると、プセアピバコは小刻みに揺れながら、やがて盛大な高笑いを上げる。
「ふ、ふふふふ、ははははははは!いいぞぉ、決定権を持つやもしれん我々に怒号を飛ばす胆力は天晴れなものだ。名誉の第一号として治安の礎となり沈むのも大儀ある殉職かな?」
「なっ、なんだとぉ!?」
"殺害対象はお前とて例外ではない"というプセアピバコの間接的な脅迫に、言葉を詰まらせるブタバナ。
175cmのプセアピバコが160cmのブタバナを見下ろす構図が、圧倒的な上下関係を示唆しているようにも見える。
ブタバナとプセアピバコが対峙する中、五叡人のウワグツはエニシゲの元へ歩み寄る。
「エニシゲ君だね?」
「え!?あ、はい!」
「初めまして、五叡人のウワグツです」
ウワグツが差し出した手を、エニシゲは強く握る。
「あ、ああ、初めまして!事務局長のエニシゲです」
「ウダさんから聞いてますよ。日々の尽力感謝しています」
「お、恐れ入ります!」
「いやぁ、急にお邪魔して申し訳ないねぇ」
「い、いえ、とんでもありません!あの、本日は…?」
「いやね、こういう事態になることはあらかた予想できていたからね。さすがに君らだけでは処理しきれないだろうと思って手助けに」
「あ、な、なるほど」
「悪いけど、どこか会議室を用意してくれないか?このままだと職員や来訪者の方々に迷惑をかける」
「あ、わ、分かりました!すぐに!」
ウワグツの用命を受け、エニシゲはすぐに事務局内の会議室解放の準備に取り掛かる。
エニシゲがその場を去ったタイミングで、ウワグツはプセアピバコに声をかける。
「プセさん、続きは部屋で行いましょう」
「賢明だな」
「ささ、皆さんもこんな所ではお茶も出せませんので、一旦場所を移しましょう」
ウワグツの号令を元に、一同はセンターフロアから続々と移動を始める。
やがてエニシゲが用意した会議室に集合した一同により、首脳決戦会議が封を切られるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます