第24話
なんとか織田信長公と濃姫様から逃げ出した帰り道ー。
「そだ、そだ。美冬ちゃん」
「ん?」
「朝会ってしまった、猿飛から伝言がありました」
「猿飛……っ」
「真田様が美冬ちゃんにまた会いたいとのこと」
「ぬぇっ!?でっ!?へぁ」
……おお?どうしたのでしょう、美冬ちゃん。
動揺が凄まじいのですが??
「なんでお前、猿飛と会うんだよ」
「……色々とあったんですよ」
「色々〜ねぇ…?」
こじゅ様がなんか聞いてくるんですけど!?
今は美冬ちゃんの話なんですが!?
「桜、それ本当??」
「え?私が美冬ちゃんに嘘をつくとでも?」
そう思われていたなら心外ですが?
つい、厳しい表情の低い声になった。
ビクッと体を震わせる美冬ちゃん。
「ごめっ、そういう意味じゃなくて……」
「察しろ」
「何をですか?」
「…この鈍感忍者がっ」
鈍感!?
「まぁ、そうですね」
「アッサリ認めたわ」
「桜」
「はい?」
「また、猿飛に会う?」
「はい」
「即答か」
ジトーッとした瞳でこっちを見てくるこじゅ様。
なんなんだ、なんなんだっ。
会うも何も、明日もあの公園に行くのだから。
成実様に……歩様に会えるかもしれない公園へ。
いや、あのっ。
今日のようにお腹を空かせてたりしたら大変だからっ。
でも、こじゅ様に言うと何かややこしくなりそうだから言わない。
「真田さんに手紙を書くから…猿飛に渡してくれる?」
「お安い御用ですよ」
頷くと美冬ちゃんはそれはそれは可愛らしく笑った。
可愛いなぁ。
「俺も猿飛に会いてぇ……あっ、桜テメェっ」
私は脱兎の如く逃走した。
こじゅ様が来たら、歩様との時間が減るのですーっ。
それだけは勘弁なのですーっ。
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