第17話

私はいそいそと自分の席で正座する。




「ちょっと、何してんの?桜」



「シッ!!ですよ、美冬ちゃん!!今っ今から歩様がっ」




成実様が自己紹介をっ!!




フワァっとあくびをして立ち上がる歩様。



現世での歩様を知れるのですっっ。



しっかり、しっかり聞かねばっっ。




ふふ。



あくび姿も可愛いです。




やっと……



やっと見つけた、"貴方"



本当は覚えていてほしかった。



またあの笑顔で『桜』と呼んでほしかった。




でもっでもっっ



もう一度、逢えた奇跡に。



それだけで涙が出そうになる。














『桜』




すぐそこに"貴方"がいる。




「桜」



「大丈夫。大丈夫ですよ、美冬ちゃん」




心配してくれている美冬ちゃんに笑い、やっぱりこっちを見てくるこじゅ様に頷く。



一瞬たりとも歩様から目を離さない。




今日の朝も公園で寝ていましたが……




ハッ!?



どこか悪いのでは!?




聞いた方が!?


聞いた方がいいのですかね!?




美冬ちゃっ、こじゅ様っ、どうしたら!?




「森岡歩」




あああああーーーっ。



なんとも耳に心地の良い声。



はぁー、ずっと聞いていたいです。



ずっと……
















「よろしくお願いします」




ペコリと頭を下げて歩様が座った。




……………………




















終わりましたっ!!



もっもう終わってしまいましたっ!?




知ってることしかっっ。



名前しかわかりませんでしたよーー!?













歩様ぁぁぁぁぁぁぁぁっっ。

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