第14話

って、なんだかんだと理由をつけても私達はただ"今"の美冬ちゃんが大好きなのだ。



大好きな美冬ちゃんを笑うなど……許さん、許さんぞ。




「桜……。咲……」




心配しないで下さい美冬ちゃん。



美冬ちゃんと成実様……じゃなかった歩様だけは死んでも守る。




「実渕さん。五百川さん座……」



「先生」




こじゅ様が低い低い声で先生を呼ぶ。




「かけがえのない友が」



「大好きな友が笑われてるのに」



「「黙ってろと??」」




ふざけないでほしい。




「それは……」



「やだぁ~。ちょっとした冗談じゃな~い、そんなムキにな」



「うるさい。黙れ。そのおしゃれかなんかで斜めにしてる前髪を生え際で切り揃えてやろうか……??」



「やだっっ」




とっさに前髪を押さえる女。



何が「やだっ」だ。



私はやると言ったらやる。



そういう生き物だ、戦国人は。




「いやいや、あんた現代人よ」




美冬ちゃんのツッコミが入るけど、聞こえません。




「とにかくだ。いいか、そこの……」



「そこの……??」




そう言って、美冬ちゃんを指差したこじゅ様に、ちょっと怒り気味にツッコむ美冬ちゃん。




「すみません」




素直に謝るこじゅ様。



こじゅ様、いっつも怒ってるように見えますが、とても良い子なのです。




「大賀美冬のことをそのことでからかったり、笑ったりする奴がいたら俺が……」



「私が……」




私とこじゅ様はクラスの全員を見て




「「ブッ飛ばす」」




そう声を揃えると同時に着席した。



皆の返事はない。



だが"わかっている"のならいいのだ。




少しスッキリ。




「……全くあんた達ときたら」




美冬ちゃんが呆れたように、そして嬉しそうに笑った。




「美冬ちゃんは必ず守りますよ。私とこじゅ様が」




もちろん、歩様も守ります。



…………。



ものすごい形相だったけれど……歩様、私のこと引かなかったでしょうか……。



ソッとそっちを見れば




ーー笑ってる??



決してこっちを見てではなく、外を見ながらだけれど。



頬杖をついて、外をポケーッと見ながら、それでも。




ーー成実様??



記憶はないはずなのに……。



"桜"と"政宗"と"小十郎"に笑って下さっている。




何故かそう思えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る