第36話

体育館の場所はすぐにわかり、たどり着いたのですが……。




つつがなく進行しているであろう入学式。




この静粛静寂の中をいかにして音を立てずに扉を開き中に入るかが私達の問題だった。



鉄製の扉で、100%開ければ音が出るタイプです。



私だけならどうとでも出来ますが、この二人が居ます。




「「目立つのは嫌‼」」




と、さっきから二人して、ウンウンと悩み中。




どうしたものか…………ハッ‼‼




閃きました‼




「校庭を爆破しまし……」



「「だアホ‼‼」」





物凄い形相で却下されました。



激しい音でかき消す、良い案だと思ったんですが……





ならば……





『生徒会長、挨拶』





体育館の中から、そう聞こえてきました。




「もう終わりそうじゃない?」



「ですね。もういっそ出なくても……」





政宗様、こじゅ様が顔を合わせて頷く中……




ピクッッ‼




この……気配っっ‼




条件反射で私は戦闘体勢に入る。




「「桜??」」





呼ばれるも返事を返せない。



冷や汗が背中を伝う。





『ここ近年は一体何が起こってるんですかね』





明智光秀公の言葉の意味が今わかる。




こういう意味ですか‼




私は鋭くドアの向こうを見据える。





「ちょっ……桜……」



『新入生諸君。ようこそ天魔高等学校へ。歓迎する。そしてひれ伏せ。我は第六天魔王織田信長である』



『『『…………っっ!?』』』



「…………ハッ!?」



「…………!?」





体育館内の空気がビリビリと震え、鉄製の扉までもが何もしてないのに震える。




ここまで届く覇気。




間違いなくそうだ。




こじゅ様も気付いたよう。




「織田信長ーー!?」




政宗様の、すっとんきょうな声。



私はそれに声を出さず頷く。




この先に居るのは、間違いなく



天下統一を目前に、非業の死を遂げた
























織田信長公ーーーーーーーその人である。

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