第29話

あの後、助け起こされた私は今家に向かってるんですが・・・、




「・・・」



「・・・」




会話がありません‼



皆っ皆様っっ、これっこれどうしたらいいんですか!?



今世の成実様は無口なのでしょうか?



いや、昔もそこまでお喋りだったわけではないのですが・・・。




成実様の三歩後ろを歩きながら様子を伺う。



あっ。

欠伸してます。




どうしましょうか・・・。



お名前とお年と、学校に行っておられるなら学校名を知りたい‼




ウンウン唸ってたら、景色が見慣れたものに。



マズイ・・・。




「ここら辺まで来れば大丈夫か??」




あああああああああああああああ。



成実様が振り返って、そう言って下さる。




「ハイ。もう大丈夫です」




後2分も歩けば家に着きます。



笑顔で答えるも内心パニック‼




「じゃ。今日は・・・」



「あのっ‼」




女は度胸です‼




「わたしは五百川桜と申します。今日、天魔高等学校に入学します。あの・・・よろしければお名前と学校名を教えて頂けないでしょうか?」




聞いてしまいました‼



でも臆病な私は最後の方は声も小さく、目も合わせられず・・・。



う"う"・・・沈黙が痛い。




「あの・・・」



「ああ、悪い。今日が入学式なのすっかり忘れてたもんで」




・・・・え?




「俺の名前は森岡歩(もりおか あゆむ)。あんたと同じ天魔に今日、入学だ」



「ふぇえ・・・!?」



「ふぇえ??」



キョトンとする成実様・・・じゃなく歩様。




「俺こそ今日はありがとう。じゃ、また」



「ハイ‼ありがとうございました‼」





手を上げて去っていく歩様に深く頭を下げる。



~~~~~~~~っっっ‼



またって‼

またって言って下さった‼




なんの奇跡ですか‼

これはっっ‼



私はいてもたってもいられずに走り出した。




「あっ‼帰って来た‼」



「なんですと!?どこ行ってた、こんのバカ忍がぁぁ‼」




角を曲がった所で、政宗様とこじゅ様が家の前に立ってた。



私に気が付いて、駆け寄って来ようとしてくれるも・・・私の方が早かった。




「政宗様ーーーー‼」



「へぁ!?」



「成実様にお会いしましたーーーーーーーーーーー‼」




私はおもいっきり政宗様に抱きついた。




「「えええええーーー‼‼」」

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