第18話

「??ちょっ…」




私はスッとベンチから立ち上がり、膝まづき臣下の礼をとる。



そんなあたしをキョトンした目で見、慌てる成実様。



性格も変わりがないようだ。




嬉しくて笑う。




真っ黒で少し長めの癖のある髪。



前髪に隠れがちの切れ長の瞳。



息を飲む。



だって、その姿はあの日、死別したあの日のまま。




懐かしさに、愛しさに涙が一滴零れた。




「!!??」




"今"の呼び名がわからないから名を呼べない。



でも…………



時を越えてまで抱えてきたこの恋心を伝えるのは"今"なのではないか?



伝えるために、出来れば叶えるために、生まれ変わったのだ、きっと。




"別れ"はある日突然訪れる。



それは痛いくらいこの胸に刻まれてる。




「おっおい…?」



「………………」




しっ…しかし…。

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