第13話

気持ち良い朝…………………………………………………………………………じゃない。




「ひっひっはー…」



…そこは、ふー、でしょ?



って、妊婦でもあるまいし。



「ひっひっひー…」



…今度は笑い?



「ひっひっふー」



そうそう。

それそれ。



「ひっひっへー」



ハイハイ。


ロードワークに出て、3分もしない内に、ピッタリと後ろに男が付いてきた。




私のスピードに付いてこられるとは、体育会系だな。




「ひっひっほー」




何がしたいんでしょうかね?



気持ち悪いことこの上なし。



すぐに我慢の限界にきた私は、ジャージから手裏剣を………………手裏剣を………。




『桜……?』




母上の声が頭に響く。



はい。


わかっております。



朝御飯もお小遣い無しも勘弁です。




「ねぇ…君…いつも…ハァ」


「私、まだまだ速いんですよ?ってか、今度も付いてきたら問答無用で、ブッ飛ばします。では」



「へ?」




後ろも見ずに、それだけ言うと、私は脇目もふらず、全力疾走。




「ああああああーーー」




悲痛ともとれる悲鳴を背に、一瞬にして男の姿が見えなくなった。

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