『ヒョット・コー』 中


 ヤンシマーと、ヒョット・コーは、細い細い山道の頂上付近で、であったのです。


 ヒョット・コーは、解りやすく言うと、北欧のクラット(おに)でした。


 ヤンシマーは、高齢者なので、ちょっと背中が丸くて、しかも、かなりの天然パーマでありまして、クラットからみたら、やや、おにっぽいのです。


 『あんりまあ。わが、いちぞくだべかあ。』


 ヒョット・コーは、思いました。


 一方、ヤンシマーは、


 『こりは、おにだぞな。』


 と、認識はしましたが、


 『お迎えがきたぞなあ。』


 と、内心思いました。


 つまり、意気投合したわけですよ。


 それで、ふたり(?)は、月明かりの中、崖の淵に座って、身の上話をしたのです。


 眼下は断崖ですが、わりに暗いので、いまいち、よく解りません。


 クラットは言います。


 『おたがい、居場所をなくひまひたべか。ひとつ、提案がありまひ。』


 『なんでしょうか?』


 『ぼくは、落ちてきたのら、この崖の下でひたんだ。この崖は、あちらとつながるポイントとみまひた。計算上、ぎりぎり、落下速度が、次元転移速度に達しましれば、ふたりなら、さらに、確実になる。ただひ、何処に落ちるかは、わかりません。しかしながら、転移しないかもしれません。ひ。』


 『やりますか?』


 『やりましょうか?』


 お月さまは、いまや、絶好調に輝き、ふたり(?)を、闇の中に、こうこうと、照らし出したのであります。



       🌖








 


 

 


 


 

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