旅行ジャーナリスト 我妻美乃梨⑥
編集長、少しお時間をいただけますか。先ほど、キャンプ場の齋藤さんと電話で話したんです。
ええ、そうです。●●●キャンプ場の齋藤さんです。以前の取材でお世話になった方なんですけど…取材をもう一度させていただきたいとお願いしたら、以前は
理由ですか?それが、はっきりした理由をおっしゃらないんです。ただ、あの記事を読んで怒っていらっしゃいました。相当気に入らなかったみたいで。
お客様の嫌な問い合わせが増えたとか、予約キャンセルが出たとか、損害が出たらどうするんだって、そんな感じで怒られました。でも、具体的にどの部分が問題だと言ってるのか、こちらには分からなくて…ただ深掘りして欲しく無いってことだけ強調されているような気がします。
それだけじゃなくて、妙に含みのある言い方をされるんです。触れちゃいけないものがあるとか、深く考えないほうがいいとか。正直、どう受け取ったらいいのか困るんですよね。
とりあえず、向こうはもう取材を受ける気はないって断言されました。来ても無駄だって。これ以上は書かないでくれとも言われて……。何か隠しているの分かってるのですが、無理に押しかけるわけにもいきません。取材に公的な強制性も無いですし。
それで、どうしたらいいのか分からなくて、編集長に相談しに来たという事です。キャンプ場の話、せっかく
え?永見さんと一緒に行く?
私用のフリをして?…はあ、なるほど。その手がありますね。確かに、取材じゃなくて普通のお客さんとして行けば、また違う情報が得られるかもしれませんし。いいアイデアですよ、編集長!
分かりました。永見さんに連絡を取ってみます。彼ならこの手の状況にも慣れていそうですし、一緒に行くのは大分心強いです。
はい、ありがとうございます。連絡が取れたら、また報告しますね。それでは、失礼します。
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