前のエピソード――月刊ホラースター読者C

　ねぇ、ちょっと聞いて。この前読んだ月刊ホラースターの●●●キャンプ場の新連載の話なんだけどさ。私、あれ読んでからなんか引っかかってねー、色々考えたんだよ。ほら私オカルトとか謎解きとか好きじゃん？だからさ。

　あの記事に出てきたみっこちゃんの話、めっちゃリアルじゃない？幽霊とかの噂（うわさ）って普通はもうちょっと曖昧だったりするのに、あそこまで具体的だと逆に不気味じゃん。なんかこう、適当に作られた都市伝説とは違う、実際に何かある所なんだろうなって思うわけ。

　それで色々調べてみたんだけど、あのキャンプ場の周辺、昔は結構栄えてたみたいなんだよね。昭和初期くらいまでは工場とか畑とかがあったらしくて。だからさ、もしかして、今のキャンプ場がある場所ってその頃と同じくらいの年に別の建物があったんじゃないかなって。ほら、例えば孤児院（こじいん）とか、児童養護施設（じどうようごしせつ）とかそんな施設。

　いやいや、あんたはただの妄想（もうそう）だって思うかもしれないけど、ちょっと考えてみてよ。『みっこちゃん』って名前が出てきたこと自体おかしいんだよね。普通、幽霊って名前が分からないことが多いでしょ？でも、『みっこちゃん』って具体的に呼んでるってことは、あの光湖ちゃん事件とは関係なく、実際にその名前の女の子が昭和初期頃そこにいた可能性が高いとおもうんだよねー。

　それに、あの記事の中で出てた口コミとか、キャンプ場スタッフの対応とかも変じゃない？だって普通、幽霊の話が出たら、そんなの迷信ですよ！辞めてください！　とかって否定するのが普通じゃん。でも、あそこのスタッフ、妙にその話を受け入れてる感じがあるよね。みっこちゃんの名前を繰り返したりしてさ。

　それって、地元ではもうそれが当たり前の事実として認識されてるからなんじゃないかって思ったんだよね。

　それとさ、森林の中で撮られたインスタの映像の話も怖くない？赤ちゃんを抱いた女の人の幽霊とか、あれってさ、もしかしたら、昔その場所で何か悲劇（ひげき）的な事件があったからじゃないかなって。例えば、孤児院とかで火事が起きたとか、幼い子供が森に迷い込んだとか。そういう記録が地元の人たちの記憶には残ってないけど、場所そのものに刻まれた痕跡（こんせき）があって、それが今でも何かの形で現れてるとか。

　あとさ、なんでわざわざ水神様の祠がそこにあるのか不思議じゃない？普通、祠って村とか集落の守り神みたいな感じで作られるものでしょ？でも、あそこは村の中心地じゃなくて、森の中にあるわけじゃん。ってことはさ、あれって水害を鎮（しず）める祠じゃなくて、何かを鎮めるためのものだったんじゃないかって思うんだよね。例えば、昔そこにあった建物で亡くなった人たちの霊を鎮めるためとかさ。

　昔の話って意外と記録に残ってなかったりするし、地元の人たちもあんまり話したがらないことが多いからさ。もしかしたら、そういう歴史が風化しちゃって、今はキャンプ場として使われてるだけなのかも。考えてみたらちょっと怖いよね。自分が遊びに行った場所が、昔は何か悲しい出来事の舞台だったかもしれないなんて。まあ私の考察なんだけどね。

　そうそう、あの記事の中に出てた投稿者の友人が様子がおかしくなったっていう話も気になるし。なんか、見た人に影響を与えるみたいな霊って、本当にいそうだよね。

　あー、なんか話してたらまたあのキャンプ場の記事読み返したくなってきた！月刊ホラースターってやっぱり最高に面白い。

　普通のオカルト雑誌じゃなくて、ちゃんと考察できるネタが多いから好きなんだよなぁ。でも、あのキャンプ場の話、まだまだ謎が多すぎて気になるから、次号の連載も絶対チェックしないと！

　…あ、そうだ！これ聞いてて、何か思い出したり気づいたことない？もし何か知ってたら教えてよ！ほら、もしかしたら考察厨（こうさつちゅう）の私たちで何か新しい真相に辿り着けるかもしれないじゃん！