第7話

家を後にし、暫く歩いているとやがて3つの大きな建物が並んでいる場所へと着いた。


真ん中にはThe·学校と言える建物で俺から見て右側には学校程ではないにしろそれなりに大きな建物。

反対の左には小さなマンションのようにもなっている建物がある。


これこそがこの【華が舞い散り雨の音】《鬼畜エロゲ》の主人公達が過ごす舞台となる学校…華舞妓高等学校である。


現在時刻は7:20。ゲームのプロローグである始業式は9:00スタートなのでこの時間帯には生徒どころか先生の影が一つもない。


「…まぁ、俺からしたらそっちが好都合だけど」


2週間と4日振りの学校へと足を踏み入れ、靴箱の側面に貼られたクラス表を見る。


俺は…D組か。


クラスはABC順で並んでおり、Gクラスまである。

なお、主人公のクラスは俺と同じD組なのでまさかの教室にいたモブだと判明した。


俺のようなモブ…ゲームに登場していただろうか…?


記憶の中を手当たり次第に探してみても俺のようなキャラがいた記憶がない。


モブにも台詞が追加されているが、もしかしてネームドキャラではなかったために【生徒A】や【教師A】などと同じようにされていたのかもしれない。


「…その説が一番高いな。まぁ、俺は別に主人公とあまり関わるつもりもないし関係ない話だな」


あくまでも俺の目的はヒロインのバッドエンドを潰すこと。主人公の青春の邪魔をする気など毛頭ない。


「さて、さっさと教室にでも行きましょうかね」


いつまでもクラス表の前に立っているのほどう見ても不審者なので、誰かが来る前にさっさとトンズラするのであった


◆◆◆


き…さい!…お…さ…!


誰かが呼んでいるような…?でも、眠たいからあと3分…


「起きなさいよこの寝坊助!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


誰かに耳元で叫ばれ、慌てて起き上がる。


何事かと思い辺りにを見渡すと、ベッドの横で僕を見下ろす少女が立っていた。


少女は怒っているようで、腰に手を当ててこちらを少し睨んでいた。


「ど、どうしたの涼水すずみ…?」


「どうしたもこうしたもないわよ!早く支度しないと遅刻するわよ!」


「遅刻って…始業式は明日でしょ?」


僕の言葉に涼水は呆けるような顔をする…が、すぐに呆れっ顔になり、スマホでカレンダーを見せてくる。


「何言ってんのよ…始業式は今日よ?」


「え?」


涼水のカレンダーを確認すると、確かに今日の日にちに『始業式!!』と予定が入っていた。

時間を確認してみると、たった今『8:13』と数字が切り替わった。

始業式は確か9時に始まる予定だったはず…


「……やばい!遅刻する!!」


「さっきから言ってたでしょ…」


遅刻だと慌てる僕に、僕を呆れて見ている涼水。

これが僕らの日常だ。


「朝ご飯は作って置いたから、さっさと食べて来てね。外で待ってるから」


「わ、わかった!!」


涼水は部屋を後にし、僕は慌ててロッカーに仕舞っていた制服を着る。


制服に着替え終えると、階段を降りてリビングへ。


テーブルには涼水が作ったであろうトースターエッグが置いてあった。


僕は急いで口に詰め込み、半分水で流し込んでから手洗い場へ向かう。


歯磨きをせずに行くと涼水に追い返される可能性があるので急ぎ目に歯磨きをする。


ついでに髪を少し整えてから僕は家を出る。


「あら、やっと来た?」


「ごめんごめん!それじゃ、行こうか!」


「なんで寝坊助がそんな呑気が台詞を言えるのかしら…取り敢えず、走るわよ」


涼水は呆れながらも綺麗な笑顔を咲かせ、一緒に学校へと駆け出した。


「…あの子、いいなぁ…」


――その様子を一人の怪しい影が見ていると知らずに。


―――――――――――――――――――――――

ということで遂にゲーム主人公とヒロインその一が登場しました


cheeryl様、fuyfdsdggjkjgdsetukbcf様、-lucifer-様、777nananananama様、フォローありがとうございます!


そしてまさぽんた様、777nananananama様、ハートありがとうございます!!


コメント、ハート、星などが執筆のモチベとなりますので、助かります!!


これからも応援、よろしくお願いします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る