第2話

俺の前世では、【華が舞い散り雨の音】というエロゲが存在していた。


煩悩の塊であった俺は偶然このエロゲの前作をやっていたことでゲームを知ることになった。


結論から言おう…このゲームは所謂鬼畜エロゲだ。


沢山のヒロインが用意されてキャラデザ、ストーリーなども凄く充実しているが、その中でヒロインと結ばれるルートがとんでもなく難しい。


事前情報もなしに起こるランダムイベントに選択を間違えただけでヒロインをルートが途絶える…ゲームに時間の概念があったため、中には時間制限の掛けられたものまであった。


そして、ルートが途絶えたり、ランダムあに失敗すればバッドエンドが待っており、大抵が強姦やNTRなのだ。中にはヒロインが病死するなどもあるが、それでも大抵が脳破壊をしてくる。


そうして、数々の困難を乗り越えた先にあるヒロインとのエッチシーンと幸せのエンディングでこのゲームは終了する。


当時プレイしていた俺は余りの難易度に何度もゲームを投げそうになった程だ。


そして、そのゲームの舞台がまさにこの高校なのだ。


中学の進路相談の時にこの高校を知り、俺はこの世界が鬼畜エロゲであると気づいた。


元プレイヤーとして、ヒロインのバッドエンドは絶対に回避したいというのが俺の本音だ。


家族のこと、そしてヒロインのバッドエンド回避…要はシナリオブレイク。これが俺の生きている理由である。


「さて…明日は早いし、早く寝よう」


明日から高校は始業式であり、丁度ゲームが開始される日でもある。


明日から山積みになる問題を解決すべく、俺はいつもよりも早く床に着くのだった。

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