8日目

 切り裂かれた。


 今日こそ獲物を仕留めようと、小さな獣を追っていた。この未熟な体でも必ず捕まえられるはずだ。獲物の動きを読み、徐々に距離を詰めていく。もう少しで飛びかかれる場所まで来ていた。


 そう集中していた時だった。


 轟音が響き渡る。地面が揺れる。木々が軋む音。何かが近づいてくる。


 巨大な影が落ちる。振り返ると、そこには怪物がいた。


 私の十倍以上はある巨体。鋭い牙。そして、憎悪に満ちた瞳。縄張りを侵されたことへの怒りが、その全身から放射されている。


 逃げようとした。だが、この小さな体では間に合わない。


 巨大な爪が振り下ろされる。


 肉が引き裂かれる痛み。骨が砕ける感触。私の体は、まるで獲物のように、八裂きにされていく。血が飛び散る。内臓が零れ落ちる。


 痛みが次々と全身を走る。でも、もう逃げられない。荒い息遣いと、私の肉が引き裂かれる音だけが響く。


 意識が遠のいていく中で理解した。この世界には、私には太刀打ちできない存在がいる。少なくとも、今のこの体では。


 次は、彼らの縄張りを把握し、決して近づかないようにしよう。


 全てが闇に溶けていった。

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