7日目
墜落死した。
地上では、大きな獣たちの餌食になるか、毒に当たるか、沼に沈むか。生き延びる確率が低すぎる。この翼があるのだから、空を使わない手はない。
高い崖を見つけた。ここなら、十分な高度が得られるはずだ。風も良い。
崖の端に立つ。はるか下方に広がる森を見下ろす。遠くには山々が連なり、雲が流れている。美しい光景だ。
深く息を吸い、一歩を踏み出した。
風を感じる。翼を広げる。
だが、まだ未熟な翼は風をうまく捉えられない。一瞬の浮遊感の後、体が傾き始める。胃が持ち上がるような不快感。必死に姿勢を立て直そうとするが、空気の流れが読めない。パニックが全身を支配していく。
回転しながら落下していく。風が耳を裂くように吹き付ける。目の前で空と地面が目まぐるしく入れ替わる。喉から声が出ない。心臓が爆ぜそうなほど脈打つ。木々の先端が牙のように迫ってくる。
もう終わりだと悟った時、背中から岩肌に激突した。背骨が粉々に砕ける音。全身を貫く激痛。内臓が潰れる感覚。口から熱い血が溢れ出る。
肺から空気が抜けていく。視界が赤く染まる。痙攣が体を襲う。
意識が遠のいていく中で、次は必ず、着実に、一歩ずつ飛行を学ぼうと誓った。
後悔を抱え、暗闇へと溶けていった。
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