3日目
赤い実が、私の体を蝕んでいく。
目の前の赤い実は、完璧な獲物に見えた。鮮やかな色、艶のある表面、甘い香り。木の根元には小動物の食べた痕跡が散らばっている。
他の生き物が食べられるなら、私にも食べられるはず。そう判断した。
最初の一粒を口に運んだ。
甘かった。とても。その味わいに、思わず手が伸びる。二粒、三粒、四粒。気がつけば、実はほとんど無くなっていた。満ちてくる満足感。ようやく生き延びられる。
そう思った時、胃が焼けるような痛みに襲われた。喉が締め付けられ、呼吸が困難になる。体が激しい痙攣を始め、地面に倒れ込む。
視界が歪み始める。吐き出そうとしても、体は言うことを聞かない。内臓が溶けていくような激痛が全身を駆け巡る。
意識が遠のいていく中で、少しだけ...最初は少しだけ試すべきだったと。その後悔が胸を刺す。だが、もう遅い。
そうして、私は闇の中へと溶けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます