3日目

 赤い実が、私の体を蝕んでいく。


 目の前の赤い実は、完璧な獲物に見えた。鮮やかな色、艶のある表面、甘い香り。木の根元には小動物の食べた痕跡が散らばっている。


 他の生き物が食べられるなら、私にも食べられるはず。そう判断した。


 最初の一粒を口に運んだ。


 甘かった。とても。その味わいに、思わず手が伸びる。二粒、三粒、四粒。気がつけば、実はほとんど無くなっていた。満ちてくる満足感。ようやく生き延びられる。


 そう思った時、胃が焼けるような痛みに襲われた。喉が締め付けられ、呼吸が困難になる。体が激しい痙攣を始め、地面に倒れ込む。


 視界が歪み始める。吐き出そうとしても、体は言うことを聞かない。内臓が溶けていくような激痛が全身を駆け巡る。


 意識が遠のいていく中で、少しだけ...最初は少しだけ試すべきだったと。その後悔が胸を刺す。だが、もう遅い。


 そうして、私は闇の中へと溶けていった。

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