2日目
溺れた。
喉から押し寄せる渇きが、理性を奪っていく。確実に、ゆっくりと。乾いた空気が気管を引っ掻くように通り過ぎる度、私は生存本能に従うしかなかった。
遠くから聞こえる水音に、私は惹きつけられるように歩き始めた。自分で選んだはずの一歩一歩が、まるで何かに操られているかのように。体が勝手に動き出す。
沼地だった。水面は静かに揺らぎ、生命の匂いを漂わせている。慎重に水際に近づき、喉の渇きを潤そうとした時、足元が柔らかく沈み始めた。
驚いて後ずさろうとしたが、体重を後ろに傾けた瞬間、バランスを崩し、さらに深く沈み込んでしまう。泥が私の足首を、そして膝を飲み込んでいく。
必死にもがけばもがくほど、体は泥の中へと引き込まれていった。体をねじり、這い上がろうとするが、それは徒労でしかない。次第に腰まで沈んでいく。呼吸が苦しくなり、パニックが全身を支配していく。
泥が胸元まで達する。もう動けない。視界が泥色に染まっていく。濁った水が肺に入り、意識が遠のき闇の中へと溶けていった。
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