生存記
rm
1日目
喰われた。
巨大な獣の牙が、私の首を貫いた時、初めて「痛み」を知った。
肉が引き裂かれ、骨が砕ける感覚。口から熱い液体が溢れ出る。心臓が激しく脈打つ。それが次第に遠のいていく。
世界が突然傾いた。宙を舞う体が地面に叩きつけられ、また放り投げられる。視界が揺れる。空と地面が目まぐるしく入れ替わる。まるで悪い夢のようだ。だが、これは紛れもない現実。
獣の荒い息遣いが耳元で響く。熱い吐息が私の傷口を焼く。唸り声と共に、また新たな痛みが走る。肉の裂ける音が生々しく鼓膜を打つ。まだ生きている。まだ意識がある。すべてを克明に感じ取れる。
激痛が走る。また走る。そして、また。痛みの波が途切れることなく押し寄せてくる。その合間に、私は考えていた。なぜ自分はここにいるのか。どこから来たのか。何のために生まれたのか。
だが、答えを見つける前に、痛みさえも遠くなっていく。体が冷たくなっていくのを感じる。視界が徐々に暗くなり、音も遠ざかっていく。
もう終わりなのだ。
私は死ぬのだ、という確かな認識が芽生えた瞬間、全ては闇の中に溶けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます