妖狐の女の子が密かに楽しみにしてること。
ホキニワラ
ストーリー
ガサガサ……。
「ここが最近出るって噂の森だよね……?」
「うっ……、うん……。確かそうだったと思う……」
「やっ……、やっぱりそうだよね……。うぅ〜……、クラスのみんながこの森に霊とかが出るよって聞いて好奇心で来てみたけど……、夜の森ってこんなに怖いんだね……」
「そっ……、そうだね……。一応スマホのライトを照らしてるけど……、それでもかなり怖いよね……」
「本当そうだよね……。ライト点けてこの暗さなんだから、そりゃ怖いのも当然だよね……。そういえば、この森には他に何が出るんだったけ? 確か霊以外にも何か出て来るって聞いたけど……」
「えっと〜……、クラスのみんなが言うには確か鬼や狼とかも出て来るって聞いたよ……」
「そっ……、そうなんだ……。霊だけじゃなく鬼や狼とかも出て来るなんて、私そんなの絶対に耐えられないんだけど……」
「あっ……、あはは……。まあでも、この目で見ないことにはちゃんと帰れないよね♪」
「まあそれもそうだね♪ そもそも私たちはそれを見るためにこの森に来てるんだしね♪」
ガサガサ……。
「「ヒッ……!」」
シーン……。
「なっ……、な〜んだ風の音ね……。もぅ〜……、びっくりしちゃ――」
「あっ……、あわわ……」
「ん? どうしたの?」
「あっ……、あれ見て……」
「あれ? ヒッ……!」
「……」
「どっ……、どうしてあんな所に人がいるの……?」
「もっ……、もしかして私たちより先に肝試しにやって来たのかも……」
「そっ……、それはあり得るね……。せっかくだし……、ちょっと話しかけてみようかな……?」
「うん……、その方がいいと思う……。それにもしかしたら何か情報を得られるかもしれないしね……」
「そうだね……。ねっ……、ねぇ……、あなたも私たちと同じで肝試しにやって来たの……?」
「あら? 珍しいわね。こんな所に人間がやって来るなんて……♪」
「「えっ……?」」
「人間の血は絶品でとっても美味しいんだよね……♪ ここ最近魔物ばかりの血で飽きてきてたから、人間の血が欲しくて欲しくてたまらなかったの……♡。だからあなたたちの血、遠慮なくいただくことにするね……♪」
ジュルリ……。
「「ヒッ……!」」
「ねっ……、ねぇ……、あれって……」
「うん……。絶対に間違いないと思う……」
「ハァ……、ハァ……♡」
「「きっ……、きっ……、吸血鬼だ〜……!!」」
「ハァ〜ッ……!」
「「キャアアアアァァァァ〜〜〜〜ッッッッ……!!」」
スタスタ……、スタスタ……。
「フフッ……、フフフフッ……」
ポンッ☆!
「わ〜はっはっ! どうやら今回もわらわの変身は完璧だったようじゃの♪ やっぱり人間を驚かせるのはとっても楽しいぞい♪」
人間の女子2人が逃げたのを確認すると、わらわは変身を解いて元の姿に戻り、今回も上手く驚かせたことにとても満足していたのじゃ♪
わらわの名はチセ。天界から遠路遥々この人間界にやって来た妖狐の女の子なのじゃ♪ どうして人間界にやって来たのかと言うと、天界での生活が退屈だったので気分転換に人間界へ行こうと思ったのがきっかけじゃな♪ もちろん家族からの許可もちゃんと頂いているぞい♪
それで人間界に来たはいいものの、当然住む場所を見つけなくてはならなかったので、のらりくらりとマイペースに探した結果、現在はこの森の中にある使われなくなった家で暮らしておるのじゃ♪ 当然電気とかが通ってはいないものの、わらわの術を使えば電気とかもあっという間に出せるから特に困ってはいないがの♪ おまけに家の中はとても広々としてて快適だからゆっくり寛げて気持ち良いのじゃい♪ ハァ〜、癒される〜♪
ちなみにさっきの変身ももちろんわらわの術の1つで、ここはベーシックに
わらわの変化の術はとても完璧なもので、見破られることはまずないのじゃ♪ エッヘン☆! この変化の術を使って、わらわは毎回のように人間を驚かせてとても楽しんでおるのじゃい♪
そもそもどうしてわらわが人間を驚かせるようになったのかと言うと、それは人間界に来て住む場所を見つけたばかりの頃、人間の連中がこの森で肝試しをしていたのがきっかけじゃな。自分の存在や住んでいる場所がバレるのを恐れたわらわは変化の術を使ってお化けに変身し、肝試しに来ていた人間共を怖がらせて追い返したのが全ての始まりなのじゃ♪
そしてこの出来事は瞬く間に他の人間たちにも知れ渡り、いつしかこの森には霊が出ると噂になって肝試しスポットとしてとても人気になったようじゃの♪ 元々イタズラ好きだったわらわはこの噂を利用してノリノリでお化けに変身しては人間を驚かせてとても楽しんでおったのじゃ♪ ただ、いつも同じのばかりだとどこか退屈になると思ったわらわは、お化けだけじゃなく鬼や狼などいろんなものに変身して人間を驚かせることを決め、そのまま現在に至るのじゃ♪ おかげでこの噂は更に広がり、今でもこの森は肝試しスポットとしてとても人気が高いみたいなのじゃ♪ 最近では一体何が出るのか気になって怖いもの見たさで楽しむ人間もおるようじゃの♪ それはそれでわらわもとっても嬉しいぞい♪
じゃが、こんな完璧なわらわの変身を見ても全く怖がらない人間が1人いるのじゃい……。
スタスタ……。
「おっ♪ どうやらそろそろ来るみたいじゃな♪」
ポンッ☆!
「フフフ……、さあかかって来なさい……。今度こそあなたを驚かしてみせるわ……♡」
噂をすればそやつがこの森にやって来たので、わらわは再び吸血鬼に変身してそやつを待ち構えるのじゃった。
スタスタ……。
「来たわね……♪」
スタスタ……。
よし、今じゃ☆!
「あら……♪ どうやらまた人間が来たみたいね……♪ さっきは人間の獲物を取り逃してしまったけど、今度こそ人間の血を吸ってみせるわ……♡。さあ覚悟なさい……!!」
「よっ、チセ! 今回は吸血鬼に変更したんだな!」
「なっ……!?」
ポンッ☆!
「こら〜!! おぬしも驚かんか〜い!!」
そやつがわらわの前に姿を現したのを見て、吸血鬼に変身したわらわは意を決して全力で怖がらせに行くも、そやつは全く怖がる様子もなくその上いつものように普通に挨拶をしてきたことにわらわはかなり不満を持ち、変身を解いて今回も驚いてくれなかったそやつに対して怒りを見せるのじゃった。
そやつの名は北川奏翔。こやつこそがわらわの完璧な変身を見ても全く怖がらないとんでもなく変わり者な人間の男の子なのじゃ。奏翔殿と初めて会った時のことは今でもわらわはよく覚えておる。あれは確かわらわがゾンビに変身していた時じゃの。
ゾンビに変身したわらわはいつものように人間を怖がらせていると、そこに奏翔殿が現れたのじゃ。これはすぐに後で分かったことなのじゃが、どうやら奏翔殿も他の人間たちと同様に噂を聞き付けてこの森にやって来たみたいなのじゃ。既にゾンビに変身していたわらわはせっかくなので奏翔殿を怖がらせてみるも、奏翔殿は怖がる素振りを見せないどころかむしろ目をキラキラと輝かせてとても興味津々だったのじゃい……。うぅ〜……、今思い出すだけでもあれは中々の衝撃的な出会いだったの……。
そんな奏翔殿のあまりにも予想外な反応にわらわは呆気に取られ、それが災いして気が緩んでつい変身を解いてしまい、奏翔殿にわらわの正体がバレてしまったのじゃ……。あの時は本当にやらかしてしまったと思ったの……。
正体がバレたということもあり、今更誤魔化したところで意味がないと思ったわらわは、素直にこれまでの経緯を奏翔殿に話したのじゃ。すると奏翔殿はわらわの話を聞いてますます興味を示し、わらわの変化の術をとても感心してくれたのじゃい♪ こうして素直に褒められると何だかとても照れくさいものじゃったの……♪
とはいえ、わらわの完璧な変身に全く驚かずむしろ目をキラキラと輝かせるぐらいの好奇心の塊であった奏翔殿には内心ではとても複雑な気持ちだったんじゃがの……。やっぱりわらわの変身した姿を見ても全然怖がってくれなかったことに関しては凄く悔しかったからの……。
それからわらわは奏翔殿を絶対に驚かせるため様々な姿に変身して幾度となく挑戦したのじゃが、どれも上手く行かずそのまま現在に至るのじゃい……。もぅ〜! どうして奏翔殿はわらわのこ〜んな完璧な変身にいつもいつも驚いてくれんのじゃい! 本当意味分からない! 何かすっごくムカつく! 奏翔殿のバカ〜!!
そしてこれまたムカつくことに、奏翔殿は勉強が出来るぐらい学業の方がとても優秀で、テストの学年順位も常にトップを取り続けるぐらいの実力を持ち合わせるエリートなのじゃい……。確かに奏翔殿は黒髪のショートで眼鏡をかけていると言う如何にもインテリで賢そうな見た目をしておるが、だからといって見た目通りに本当にインテリで賢いという結果には何だか面白くなくてつまらないものじゃの……。もぅ〜! せめてちょっとぐらいは面白くて違う結果になってよ! むぅ〜!
ちなみに、わらわの見た目は
「むぅ〜!」
「ん? どうしたんだ? そんなに顔をプク〜っと膨らませて」
「おぬしが怖がってくれないからわらわは怒っとるんじゃい!!」
奏翔殿が怖がってくれないことに、わらわはプク顔をして怒っていたのじゃ。
「ん〜……、そんなこと言ったてな〜……。俺にとっては怖さや驚きよりも、喜びや嬉しさの方がどうしても勝ってしまうんだよな〜……」
「むっ……。つまり奏翔殿にとって、変身したわらわと出会うのは恐怖じゃなく嬉しい気持ちになるわけじゃな……?」
「まあ、そういうことになるな! ニヒッ!」
「そっ……、そうなんじゃな……。ふ〜ん……、へぇ〜……。何かそれはそれでとても照れるものじゃな……♪」
奏翔殿にとって、変身したわらわと出会うのはどうやら恐怖よりも喜びや嬉しさの方が勝るみたいで、それを聞いたわらわは素直に嬉しく思い、顔を赤らめとても照れていたのじゃ♪
もぅ〜……、こういう時の奏翔殿は本当にずるいんだからぁ〜……。
「にしても……、チセが今回変身した吸血鬼は妖艶で凄く魅力的だったぜ! おまけにスタイルもとても良かったしな!」
「むっ……! ふ〜ん……。奏翔殿はそんなにわらわの変身した吸血鬼が好きなんじゃな……。へぇ〜……」
奏翔殿が今回わらわが変身した吸血鬼を褒めてくれるのは凄く嬉しかったのじゃが、わらわはなぜかどこか不満な気持ちになり、奏翔殿に対してジト目を向けていたのじゃ。
それとどういうわけか、心の中でチクッと何かに刺されたような痛みも感じていたのじゃ……。
「まあ確かにチセが変身した吸血鬼のことを好きなのは間違いないな……。でもどっちかって言うと、本来の妖狐の姿であるチセの方が俺はとっても好きだぜ! その方が自然体で良いし! それに何よりとびっきり可愛くて、その上吸血鬼に変身した時と同じくスタイルも良いからな! ニヒッ!」
「なっ……!? わっ、わらわをからかったところで別に何も出ないんじゃからな!!」
「はいはい、それぐらい分かってるって」
「うっ……、うむ……! 分かればよろしいのじゃ……!」
すると奏翔殿はわらわが変身した吸血鬼のことが好きであることを肯定しつつも(それはそれで何かちょっとムカつくけど……)、わらわの本来の姿である妖狐の方が好きだと言ってくれたのじゃ。
それに対して、わらわは奏翔殿のそんな言葉にとても嬉しかったのか、頭の中がオーバーヒートして顔を真っ赤にしていたのじゃ。
うぅ〜……、そんな不意打ちのクリティカルな言葉はあまりにも反則じゃい……。おまけにとびっきり可愛いって言ってくれたしの……♪ そんなの嬉しいに決まっとるじゃろが……♪ 一応わらわが可愛いのは事実じゃが、こうして人に言われるとやっぱりとっても嬉しいものじゃな……♪
あれ……? さっきまでわらわの心の中で感じていたチクッと何かに刺されたような痛みがなぜかきれいさっぱりなくなっているのじゃい……。一体どういうことじゃ……?
「それで、奏翔殿がここにやって来た理由はもちろんわらわの家に遊びに来たからじゃろ?」
「おっ、鋭いね。まさにその通りだぜ!」
「やっぱりそのようじゃの……。全く……、おぬしはいつの間にか当たり前のようにわらわの家に上がろうとするよな……。まあ別に良いんじゃがの……。とりあえず中に入るが良い……」
「ニヒッ、やったぜ! ありがとうな、チセ!」
「礼には及ばんぞ……」
それからしばらくして、わらわは奏翔殿に対して多少呆れながらもそのまま家に招き入れたのじゃ。
奏翔殿と知り合ってからというもの、わらわは奏翔殿を家に入れてはいつものようによく一緒にゲームとかでもして遊んでおるのじゃ♪
最初はわらわの正体がバレたというのもあって、そのお詫びとして仕方なしに家に入れたのじゃが、奏翔殿はどうやらとても満足したみたいでの、その後もこうして何度かここに来てはわらわの家によく遊びに来るようになったのじゃい。始めは何度も来てしつこいと思ったわらわじゃが、次第に考えるのが面倒となり、いつしか奏翔殿を普通に家に招き入れるようになってそのまま今に至るのじゃい♪
実のところを言うと、わらわも奏翔殿と一緒に遊ぶのは密かにとても楽しみでの、表向きはこうして呆れながら渋々家に入れてやっているような振る舞いを見せておるが、本音を言えば奏翔殿がまたやって来てくれて内心とても嬉しい気持ちになっている自分がいるのじゃ♪ そりゃ誰かとこうして何度も一緒に遊んでいたら、次第に楽しい気持ちになるのは至極当然のことじゃからな……。断じて奏翔殿が特別というわけじゃないぞ……! 絶対そうに決まっとる!!
「それじゃ、お邪魔しま〜す!」
「本当わらわの家によく来るの……。何度も来てるのに飽きないものじゃの……」
「別に飽きたりはしないぜ! だってチセと一緒に遊ぶのとっても楽しいからな!」
「っ!? バッ、バカ! わらわを褒めたって何の得もないんじゃぞ……」
またしても奏翔殿の不意なクリティカルな言葉に、わらわは動揺し再び顔を真っ赤にしていたのじゃ……。
うぅ〜……、奏翔殿と話すとどうしても調子が狂ってしまうの……。それに不思議と嬉しい気持ちにもなっちゃうし、わらわの心はどうやら奏翔殿と関わる度おかしくなっとるみたいじゃの……。
「大体おぬしはわらわに対して気さくに話しかけてくるが、言っとくけどわらわはおぬしより圧倒的に年上なんじゃぞ」
「まあ、だろうな。チセは妖狐だから俺とはかなり年が離れているんだろうなと薄々思ってたぐらいだし」
「なっ!? 何か分かってた上で今まで気さくに話しかけられたんだと思うと、それはそれで尚更ムカついてくるの……」
わらわが奏翔殿よりかなり年上であることを明かすと、奏翔殿にとってはどうやら予想通りだったみたいで、それを聞いたわらわは半ば呆れていたのじゃ……。
そもそも妖狐は人間と違ってとても長生きするから、必然的に妖狐の方が圧倒的に年上になるのじゃ♪ とはいえ、わらわの見た目は奏翔殿と同い年ぐらいの感じに見えてしまうため、いくら分かってたとはいえ奏翔殿がわらわに気さくに話しかけてしまうのも無理ないの。
妖狐は年を取っても基本老けることはないため、そこら辺はエルフやドワーフと似たようなものじゃの♪
「そういえば、おぬしは今いくつになるのじゃ? よくよく考えたらお互いの年齢を聞いていなかったの」
「言われてみれば確かにそうだな。俺は今高校1年生だぜ! けど誕生日はまだ迎えてないから年は15才になるぜ!」
「ほうほう、おぬしはまだ高校1年生じゃったのか。何だかとっても初々しいのう♪」
「そりゃどうも」
まだお互いの年齢を知らないことに気付いたわらわは奏翔殿に今いくつか聞いてみたところ、どうやらまだ高校1年生みたいだったのじゃ♪
それに誕生日はまだ迎えてないと言っておったな。やった♪ せっかくだから誕生日になったら奏翔殿を盛大に祝ってやろうかの♪
「それじゃ、次はチセの方も今いくつなのか聞かせてもらおうかな」
「うむ☆! もちろんいいぞ♪ 聞いて驚くな……。わらわは何と現在200歳になるのじゃ〜☆! わ〜はっはっ☆! あっ、ちなみにわらわも今年はまだ誕生日を迎えておらんぞ♪」
「スッゲェ〜! 正に妖狐ならではの年齢だな! やっぱり次元が違うぜ!」
「ふふっ♪ もっと褒めるが良いぞ♪」
わらわの年齢を聞いた奏翔殿は、目をキラキラにして輝かせとても興味津々だったのじゃい♪
奏翔殿にこうしてピュアに褒められるのは案外悪い気はしないの♪ むしろとっても幸せな気持ちになるのじゃい♪ それはそうと……、奏翔殿にもわらわの誕生日を盛大に祝ってほしいの……♡。
「そうだ! 今日はチセと勝負がしたくて、トランプと対戦用ゲームを持ってきたぜ! 良かったら一緒にやろうぜ!」
「ゲーム!? やる〜、やるやる〜☆!」
今日の奏翔殿はどうやらトランプと対戦用ゲームを持ってきてくれたみたいで、それを見たわらわはテンションが上がり、喜びのあまりピョンピョンと飛び跳ねていたのじゃ♪
「それじゃ、わらわもお菓子やジュースを用意するとするかの♪ 奏翔殿はどのジュースが良いのじゃ?」
「う〜ん……、それじゃオレンジジュースを頼む」
「オレンジジュースじゃな♪ 了解♪ せっかくじゃから、わらわも奏翔殿と同じのにしようかの♪」
その後、お菓子やジュースを用意したわらわは奏翔殿と一緒にゲームの勝負をしてとっても楽しんだのじゃ♪
どの勝負もとっても楽しかったのじゃが、中でも一番印象に残ったのはトランプを使ったポーカーの対決じゃな♪ 勝った方が好きなお菓子を食べられるというルールのもと、わらわと奏翔殿はお菓子を巡る戦いで共にイカサマを駆使して勝負を繰り広げていたのじゃ♪
どんなイカサマを使ったのかというと、例えば何故かお互い
これはあくまで一部を述べたまでで、他にもいろんなイカサマをお互い使ったのじゃが、キリがないのでここは遠慮なく省略させてもらうことにするぞ。それで結局、ほとんどバレバレなイカサマの応酬によるあまりの泥仕合により、お菓子は無条件で平等に分け与えられることになったんじゃよな……。まあお菓子はとても美味しかったから別に良かったんじゃけどな♪ それに何より奏翔殿と一緒にお菓子を食べることが出来てわらわは凄く大満足じゃ♪
「う〜ん! それじゃ、そろそろ帰ることにしようかな」
「確かにもう時間じゃな。今日はこれでお開きとするかの」
奏翔殿の帰る時間となり、今日はこれにてお開きにすることをわらわは決めたのじゃ。
時間というのは楽しければ楽しいほど不思議とあっという間に過ぎていくものじゃな♪
「それじゃ、気を付けて帰るのじゃぞ♪」
「おぅ! 今日もとっても楽しかったぜ! ありがとうな、チセ!」
「っ!? べっ……、別に礼を言われるほどでもないぞ……。それにわらわも奏翔殿と一緒に遊べてとても楽しかったからな……♪」
「そうか! チセがそう思ってくれて、俺はとっても嬉しいぜ!」
「っ……!?」
もぅ〜……、こういう時の奏翔殿はやっぱりとってもずるいのじゃ……。
帰り支度を済ませ、そろそろ帰ろうとしていた奏翔殿から再度クリティカルな言葉を貰ったわらわは再び顔を真っ赤にして頭の中がオーバーヒートしていたのじゃ……。
「じゃあな、チセ」
「うむ♪ バイバイなのじゃ♪ ねっ……、ねぇ……、奏翔殿……」
「ん? どうしたんだチセ?」
「そっ……、その……、またわらわの家に来てくれるよね……?」
奏翔殿と別れの挨拶をすると、わらわは恥じらいを見せながらもまた家に来てくれるかどうか、奏翔殿にそんな問いかけをしていたのじゃ。
何でかは分からないけど、急激に不安を覚えてしまっての……。その影響で奏翔殿にふとあんな問いかけをしてしまったのじゃ……。
「おぅ! もちろんチセの家にまた来ようと思うぜ!」
「ほっ、本当か!? そっ……、そう言われると……、何だかとっても嬉しいの……♪ エヘヘ〜……♪」
わらわの問いかけに、奏翔殿はさも当たり前かのようにもちろん来ると笑顔でそう答え、わらわもそれを聞いて安心したのか、ちょっぴり照れながらも同じく笑顔を見せていたのじゃ♪
奏翔殿がまた来ると言ってくれて、どこかホッとした気持ちになったんじゃよな……。不思議なこともあるもんじゃの……。
「それじゃ、また今度な!」
「うむ♪ また今度じゃぞ〜♪ 絶対に約束じゃからな〜♪」
そして奏翔殿がわらわの家を後にすると、わらわはとびっきりの笑顔で元気に手を振って奏翔殿を見送ったのじゃ♪
今日もとっても楽しく過ごすことが出来てわらわは凄く大満足じゃぞ♪ 奏翔殿と次に遊ぶのが早くも待ち遠しいの♪ そして今度こそ奏翔殿を驚かせて、いつかリベンジを果たすのじゃい☆!
妖狐の女の子が密かに楽しみにしてること。 ホキニワラ @35112422
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます