第新章 「天涯海角」
天界の話
第一章「天涯海角」
辺りが暗いけど少し光が顔を出してきた早朝の時、いきなり起こされて視界がまだ戻ってこない。緑色と白色、そして金色がぼやけて見えた。私は寝ぼけているのが、抹茶味の饅頭と普通の饅頭と金箔がたくさん乗っている高級そうな饅頭に見えてきて、私は
「...いただきまーす。」
と言いながら少し齧ろうと思ってしまった。するとだんだん目が慣れてきてそこに居たのは私の友人とヒメシロと...秋朝の姿だ。
「...すまない。君のその姿を見るとまるでダチョウのように頭を砂へ突っ込むようだったよ。」
とこの人から見たことのない笑みをしていた。
「おっと、そんな話をしている場合ではなかったね。今から君たちに重要なことを教えに来たんだ。」
と真剣そうな表情に切り替わっていた。
「重要なことはやっぱり...」
と私が言い切る前に秋朝の口から流れる滝のように長い説明を受けた。
「あぁ、まず初めに言うとアトラスの情報を少しだけ掴んだ。次にその場所は僕には行けない所にある。そこは神の力ではなく、天界と魔界の境の所にいるんだ。僕がどんなにこの剣を使ってそこに行こうとしてもまるでパソコンのエラーメッセージのように出てくる。つまりアトラスがその配下が僕の能力を知っていて邪魔をしている。これを止めるのは君たちしかいないけど、君は堕天使に大切なものを奪われたのだろう。」
私は頷くしかなかった。あの秋朝でも情報がつかめない場所なんで、どうすればいいの?と聞こうとしたら秋朝からこんな答えが返ってきた。
「可能であれば近くまでは行ける。ただ直接行くと神の僕だとおそらく身が砕け散ってもう二度と君たちをサポートすることがなくなる。そこで隠された能力を伝えに来た。」
隠された能力...?一体どんなことなのかヒメシロに聞いてみた。
「どんな能力を持って居るの?もしかして何かしなきゃいけないの?」
と質問をすると
「いや、わらわも初めて聞いたのじゃ」
となぜか初めて聞いたような様子だったのでもう一度秋朝に質問をすると答えが返ってきた。
「君たちは僕の話を最後まで聞かずに下界へ来たからだと思ったから改めて言うよ。今まで通りに唱えればさらに強化できる。しかしそこに君たちと蝶たちの強い共鳴が必要なんだ。名前は『共鳴の遺伝子』と言うんだ。」
「何?そ...そんな大事なことを言っておったのか...もっと人の話を聞いて居ればよかったのじゃ...」
ヒメシロが驚いた表情をしながら秋朝の方を見ていた。
「それってあたしでも出来るかな?出来たらどんな姿になるんだろうかワクワクするよ!」
むっつーがのんきそうに話していると、ヒメシロからこんなことを言いながら蝶の姿に変身した。
「早速やってみるのじゃ!出来たら褒美でもやるのじゃ!」
「ほ...褒美って何?あたしの好きなものでもくれるの?」
むっつーが喜びながらヒメシロに近付き、一回変身をしてさらに唱えた...と思ったけどそういえば秋朝からまだその唱え方を聞いていない。なので聞くことにした。
「どうやって唱えるのじゃ?」
「それは『神々の黄昏に染まる混沌よ...呼び覚ませ!』...というものだよ。しかし、最初だけで終わることがあるけど人によっては何回も暴走をしてしまう。それは精神が追い付かずに体が勝手に動いてとても危険な事になってしまうんだ。それでもやるのかい?」
「も...もしかしてあたしとヒメシロの体が壊れちゃうの?」
と少し震えた声でむっつーは秋朝に質問をしていた。
「正直君たちの体に馴染めるのか不安なところはあるけど、そうでもしないと堕天使たちに叶わないと肌で感じたんだ。だけどこの能力のことを教えるべきなのか悩んだんだ。特に君の場合は炎と毒の力が凄まじくて果たしてちゃんと制御できるか分からないよ。」
「つまり...大丈夫じゃないっていうことになるけどあたしまだ覚悟できていないよ...」
「すまない...僕はまだやるべきことがたくさんあるから全部はサポートできない...君たちを巻き込みたくはなかったのが本音だ。だから君にこの『眷属の神職』をあげるよ。僕だと思って受け取って欲しい。」
と言って出してきたのは懐中時計だ。一体どんな能力を秘めているのか聞いてみるとそれはまだ秘密なんだ。ということを言っていた。
「じゃああまり乗り気じゃないけど秋朝がまだいるから変身してみる?」
「わらわも気になっていたからやってみるのじゃ。ほれ、早くやらぬか?」
(神々の黄昏に染まる混沌よ...呼び覚ませ!)
辺りが炎で燃やし尽くしている。その光は太陽よりも明るく、目を思わず閉じてしまった。それでも光が通過して眩しさが伝わってくる。そしてその光がだんだん弱くなり少しずつ目を開けるとそこに居たのは黒と赤が入り混じった色のポニテに金色と青色の中世な鎧を纏い王様のような黒いマントをしているむっつーの姿だ。しかし、様子がおかしい。なぜが私たちの方を見て襲い掛かってきた。急いで秋朝がアメリアちゃんを抱っこしながら逃げていた。アメリアちゃんが氷魔法を使うも全く効いている感じがしない。アメリアちゃんがどうして?という表情をしていた。
「うちの氷魔法は絶対凍らせるはずなのに...」
むっつーが如意棒を取り出して炎を纏わらせて巨大な炎の剣になった。そして私たちに向って一刀両断しようとしていた瞬間、秋朝が目の前に来て
「しょうがない...初回限定だ」
と言い、秋朝の手から衝撃を出してむっつーが吹っ飛ばされた。そして恐る恐る近づいてみるといつもの姿になっていた。
「あれ...あたし今何をしていたの?」
「わらわも記憶が全然ないのじゃ...」
「よかったぁ 元に戻って。私大変だったんだよ?」
むっつーの返事が返る前に秋朝から
「この眷属の神職を使えばもしかしたら堕天使のいる場所に行けるかもしれない。」
と言って秋朝の持って居る剣が空間を切り裂き私たちの手を引っ張って秋朝のいる天界に連れてかれた。落ちるように昇っている不思議な体験をしながら気が付くとそこには神秘的な世界が広がっていた。下を見ると光さす雲が神々しく感じ取れてとても眩しい。秋朝が
「じゃあ僕は用事があるからここでお別れだけどその力だけには気を付けて。あ、一応言うけど僕の記憶が正しければ君は『地神の黎明に染める天照よ...呼び覚まして!』...だったような気がするから覚えておいて欲しい。そして人間である君たちに託すよ。じゃあこの辺で。」
と言いながら秋朝が切り裂いた空間の中に入ってその剣で閉じた。本当にこれで大丈夫なのか不安になりながらこの時計を力いっぱい握りしめる。
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