霧月が全てを破壊する
第六章「霧月が全てを破壊する」
そうして敵から逃げてきた私たちは一旦神社の方へ戻ることにした。神社内なら少しは安全だろうとこの肌で感じ取れた。しかし、この時に上羽が居たらむっつーを軽く持てる力があるというのにと思いながらおんぶをして一歩ずつ歩き出していく。その途中でむっつーが目を覚まし、今のこの状況に混乱をしている。
「あれ?なんてあたしわたっちーの背中にいるの...?さっきまで大学に行こうとしていたのに...」
「詳しく説明すると長くなるからとりあえず私の神社に行くよ。」
ということだけを伝えた。むっつーだけがが分からないままただ事ではないと感じ取れたみたいだ。そして気が付いたら赤い鳥居が見えてきてもうすぐで付きそうだ。一回私の背中から放して階段を上った。もう少しで神社に迎えれる。そして登り切ったら、その先に見覚えのない人影が私の目に写っていた。その影には私の見覚えのある翼が生やしていた。嫌な予感がする...しかしここで考えては次に進めない。思い切って登ってみることにしておいた。
「あなたのことをずーーーっと待っていたわ。ふふ。」
その容姿は長髪の金髪で瞳の色は緑色だ。しかしまずい...!すでに場所を特定されたみたいだ。もはや休めるところがどこにもなくなってしまった。どうするべきなのか...と深く考えていたら突然むっつーが起き上がり、
「その敵はあたしに任せてよ!」
と言い放ちヒメシロの許可なく変身をした。
(銀河(てん)までぶっ飛べ!光輝く陽光)
そして辺り一面がピンク色と白色にひかり右手に武器を持ちながら変身が完了していた。
「...この後どうするの?」
「技を心の中で唱えるんじゃ!今から念話するからちゃんと覚えるのじゃ!まずは...」
と言い切る前に敵が動き出してきて
「そんなことさせないわ!」
と言いながら不思議な武器と共に攻撃をしてきた。それは剣の形をしているが、剣としては明らかに柔らかくぷにぷにしている。それがまるで宝石のように青く光り輝いていて形はクラゲに似ている。むっつーは最初こそ驚いていた様子だったが
「あれが武器?全く痛みを感じないなんで本当に武器なの?全然余裕じゃん!?」
しかし相手の顔は謎の笑みをしていた。
「可哀そうに...せめてわたくしの名前だけ覚えるといいわ。でもすぐに意味がないとわかるわ。わたくしの名はべロイヒテン・ベイトゥリー。以後お見知りおきを。ふふ、わたくしの強さに刺激的かしら?」
するとむっつーの様子がおかしくなった。まず防御した手がだんだん震えている。謎の現象によってむっつーが苦しみだしていた。
「え?なんで?あたしの手が痺れてきているんだけど...」
「うふふ...だんだん感染してきたかしら?」
「あたしの手に一体何をしたんだ?なんか武器が重くなってきた...」
「あなたのその手の傷に少し毒を入れておいたわ。あと数分で毒が全身に回るからあなたは苦しみながらそこの突っ立てる人に助けを呼ぶといいわ。でももう遅いから残念だったわねぇ!」
「ど...どうしよう...私の力で何とか出来ないのか...でも今は...」
様々な思考をしながらたどり着いた答えが一つあった。それは...あの氷魔法を使えば少しは遅らせれるかもしれない。と思い、どうにかしてアメリアちゃんを呼ぼうとしたが、私の考えていることが分かってしまったのか私の方に向かって水で出来たリングで拘束されて、その柔らかい剣から大量の水を私の頭から徐々に放出された。普通ならその水は地面に落ちるはずなのに、何故かその水がだんだんゼリー状に固まってきて気が付けば私の口まで来ていた。もはや何も喋ることができず、水の中でもがいていた。
「どぉ?この私の能力は?私は水と毒を操れるの。あなたの溺れる姿、とってもかわいいわ!でもかわいそう、あなたの友人が苦しむ姿が全く見えないもの。ざんねんだわぁ。」
「......」
私は何も言えずにただ溺れるだけだった。あともう少しで神社内に入ってアメリアちゃんの氷魔法が使えたのに...何も言えないし何も出来ない私がとても悔しかった。しかし考えている余裕がない。急がないと私の親友が死んでしまうからだ。それに考えれば考える分、私の命も危なくなってきた。もうすでに水が私の頭まで到達してしまったからだ。このままでは全滅してしまう...どうするべきなのか必死にもがきながらもだんだん意識が遠のいていく。そう思った瞬間、わずかだが微かに声が聞こえた。すると辺りが氷だらけになった。そしてその氷の剣を使い、相手を攻撃しながらゼリー状になった水を切断し、私を助けた。
「何か外で大きい音がすると思ったら、一体何やっているの?うちのいない間に結構大変なことになっているね。でも大丈夫。むっつーの毒はうちが凍らせて遅らせてあるから。でもそんなに長く持たないから早く決着つけてね~」
「ありがとう...でもしばらく利き手が使えなくて不便そうだね。むっつー。」
「少し不便だけど無理やりでもあいつを倒せれるならあたしは大丈夫だから心配しないで。とりあえず今は別のことを考えないと話がまとまらないよ。だからここからはあたしたちでまかせてよ!」
上羽がいなくなったことを改めて実感し、何もできない私の姿がとても憎く感じてしまった。私も変身が出来ればもっと役に立てたのに...しかし悔やんでもしょうがない。私は私の出来ることを探そうと思い、一旦神社へ行き、体制を立て直す。すると相手が
「あらあら、少し遊びすぎちゃったかしら?でも次の攻撃で私の勝ちが確定するわ。この『ツフトゥラピンナ』によってねぇ!」
と言い、次の攻撃の準備を行っていた。むっつー達は構えて何を来るのか予想しながら私を逃がしてくれた。その瞬間、その柔らかい剣が突然青い光を強く輝いて左右の剣から無数の触手みたいな動いている糸を私たちの周りに張り巡らされた。その糸に囲まれて身動きが出来なくなり、数センチぐらいで私の肌に触れそうだ。後ろを振り返って確認したが、残念ながら後ろにもその糸がある。つまり私たちは下手に動くことが出来なくなっている。その状態を嘲笑うようにべロイヒテンから説明が入った。
「半径5200㎝まで届くこの広範囲の触手には強力な毒があるわ。あなたの氷で凍らせても無駄よ。この毒は凍らせても熱を加えても殺せれないもの。」
そこで私はこう質問をした。
「一応聞くけど解毒する方法はあるのか?」
するとこう質問が返ってきた。
「そんなのあるわけないじゃない。私の毒は無敵なのよ!」
と声高に言った。私はどうやって触らないようにしようかと模索しながらむっつーとアメリアちゃんに話をした。
「もうすでにこんなに囲まれていて身動きが取れない中でこれをどんなふうに切り抜けれる?」
「うちの氷魔法でも無毒化できないならもうお手上げだよ~」
とアメリアちゃんが為す術がなくなると諦めかけていた時に、むっつーがこんなことを言った。
「うーん...あたしなら『毒をもって毒を制する』っていう言葉を使うかな?つまりあたしらも毒を使えばこの場を切り抜けられるかも?そう思ってわたっちーが苦しんでいるときに急いでヒメシロに必殺技を教えてもらったよ。」
「そうなのじゃ!そなたには悪いことをしたのじゃ。」
「じゃあ今まで黙っていたのは...」
「なるべく相手にばれないようこっそり耳元でささやいていたのじゃ!さぁ!今こそその力を開放するのじゃ!」
と言うヒメシロの言葉と共にむっつーの表情が変わり目を閉じていた。
(移毒静毒)
すると無色透明な液をまるで汗みたいに出してきた。一体何だろうと思い少し離れて見ていると青く光っている触手がその液を吸収し始めた。そして突然青からだんだん赤色に光り出してついには触手を引っ込めた。
「何なのよそれは!私の剣が...くそ...ここは一回天界に行って体制を立て直すとするわ。でもこれだけは覚えておいて。次はその毒は聞かないから...」
と意味深なことを言いながら翼を広げ、私たちが追いかけようとしようとした瞬間にまるでこの世から消えたみたいにいなくなった。それからしばらくし、疲れた状態で神社に戻り私たちは普通の日常のようにご飯を食べて風呂に入りゆっくりと寝た。そして今日この神社内で寝るのがしばらくお預けになるとは思わなかった。明日が来るまでは。
現実世界の話:終了
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