全ては反転する
第五章 「全ては反転する」
皆が寝始めた暗い夜の時、吐息が漏れている声が聞こえた。少し喘ぎ声も混ざっているような声も聞こえた。私は何だろうと思い覗いて見てみようかと考えたけど、昼にはしゃぎすぎで眠気がするので私はスルーしてそのまま熟睡した。気が付くと朝になっていた。するとヒメシロがでかい声で
「おはようなのじゃ!今日は気分がいいのじゃ!」
と元気のいい声で飛び出してきた。むっつーが眠そうな声で
「なんかやけに元気がいいね...」
と言った。むっつーがなぜこんなに元気がいいのか質問したところこう答えた。
「マダラとわらわは別に寝なくても大丈夫なのじゃ!だからこんなに元気がいいのじゃ!そういえばマダラの姿が見当たらないのぉ。」
すると上羽が少し疲れた様子で私たちの元へ出てきた。どうしてなのか上羽に聞くとどうやら集中力が低下しているのかテキトーな答えが返ってきた。
「ぼくはだいじょうぶだからさきにごはんたべててなの」
そういいながら一人だけ朝日を浴びていた。とても爽快な朝に違いないと私は思っていた。
それからご飯を食べ終えて大学に行くための支度をしているとヒメシロが私たちに対して突然しゃべった。
「なにやら今日はただならぬ気配が匂っておる気がするのじゃ...あまり寄り道はせん方がいいじゃろうな」
とまるでお菓子作るときに砂糖の分量を間違えたような声で不吉な事を口走る。
「やっぱりあの蛾のせい...なのか?ヒメシロ。あたしとわたっちーの二人の力でも倒せれないのかな?」
「アトラスは今不死の力を身に纏っているとマダラから聞いたのじゃ。二人で倒せる確率は...もはや0に近いじゃろ。」
「分かったよ。でも例え0%でも私はこの住んでいる世界のためにこの刀ですべてを薙ぎ払う意思がある。この身がどうなろうと私はアトラスを止めてみせる。」
「なるほど。おぬしからかなり強い意志を感じるのじゃ!頼りにしとるぞ!」
「もう準備は出来たよ。じゃあ一緒に大学に行こう。むっつー。」
「言っていることは大体わかった!あたしちょっと緊張しちゃうなぁ色々と。」
と言いながら私たちは外に出た。今のところは何も変わったことがない。しばらく歩き出してから私たちは何か異変を感じ取れた。最初に見た光景は周りが濃い霧に包まれて私たちをまとわりついていた。すると辺りが私たちのいつも通っている道と違っていて、様々な風景に切り替わっている。まるでスマホの写真を探すためにスクロールをするみたいに。その中には私が最近行ってきたあのスチームパンクな異世界の景色もある。私は何でだろうと不思議に思い、上羽を呼んだけど返事が何一つ聞こえなかった。私は直感で何かやばいと感じカバンの中にある刀を抜こうとしていた。そしてだんだん霧が薄くなり、そこには人影が見えた。私は小声で
「一体誰が何だろう...このシルエットは私の知っている人たちと違うみたい...」
と呟いた。そして徐々にその姿が露わになってきた。その見た目は筋肉質だけど細身な体に赤紫色の長い髪で目には謎の紋章がある。服装はへそを出したピチピチの服をしている。ズボンは黒色のレザーパンツを着ている。そしてその後ろには赤黒い翼が生えている。...私の方へゆっくりと歩き始めた。私は警戒態勢を取り武器を構えた。こんな時に上羽が居たら変身出来てもう一つ刀が使えれるのにと思いながら相手とのまるで時が遅くなったように静かになった。最初に動き始めたのは相手の方だ。突然大きい声でしゃべりかけてきた。
「預言でもしておくけどさぁ、お前の負ける未来がたくさん見えるんだよ...ぜってーになぁ!」
そこで私は相手に何か言われる前に質問をたくさんした。
「あなたは一体誰なんだ!何が目的で私を攻撃するんだ!もしかしてあなた以外にも仲間がいるとても言うんじゃないのか!?」
私は畳みかけるように早口で質問をした。すると相手が
「うーん。俺の名前なら今ここで教えてやらんこともない。俺の名前は『プロフェータ・ハイドレィンジァ』だ。12使徒たちからは預言者と言われているんだぜ。でもお前は必ず敗北する運命にある。だから名前を憶えても意味なんかねぇんだよ!ある方に言われてお前を始末しに来た。だが!それとは関係なくお前が絶望する顔をこの目で見てぇんだよぉ!」
と答えが返ってきた。本当に預言者かと思うぐらい口が悪い。ただそのことは少し置いといて上羽がいないから変身もできないこの状況で私はピンチになっている。一応武道はやってきたから少しだけなら戦えるけど、流石に私の力だけでは目の前にいる敵を倒せるのが分からない。今までのように唱えて技が出せることができないしどうしようかものすごく悩んでいる。
「どぉーした!?早くかかって来いよ...俺にビビッて攻撃できないのかぁ...?それとも小野蝶がいないと俺を倒せないとても言うんじゃねーだろうなぁ!?こいつは傑作だなぁ!」
...相手が例え本当に堕天使かどうかは関係ない。私はひたすら覚悟と決意と勇気のことを考えながら抜刀した。すると重い刀がとても軽く感じた。そして私はこう言ってやった。
「私の決意とこの手で輝く先を切り開く!」...と。
「なんだぁ?急に刀を出しておいてすぐ降参とかするんじゃねーだろうなぁ!?俺はそんなことぜってぇ許さねぇからなぁ!その美しい顔を滅茶苦茶にしてぇんだよ俺は!」
しかし、相手の声が響かないぐらいに集中をした。まるで世界が私を祝福しているみたいに。そして相手に向って光よりも速く攻撃をした。相手の体に刀を斬り、少しはダメージが効くかと思った。だが、相手は無傷だ。全くダメージが入らない。やっぱりダメだったのか...と絶望をした。ならばと思い私はいったん納刀し、相手へのカウンターという意味で居合切りをしようとした。相手がよくわからない構えをしているなと感じたのか警戒はしていたが、中々攻撃をしてきて来ないことにイライラでもしていたのかその筋肉を使い鋭いパンチを繰り出してきた。見た目はシンプルだが、当たったらもしかしたら私の方が倒れるかもしれない。だけども私はこれを狙っていた。相手へのカウンターとしてはこれほどにないと肌で感じていた。そして相手の拳が私の顔面に向って殴り掛かった。それを予想して神速のように刀を抜き相手の手を切断させた。その切り取った腕は地面に到達したとき、地震でも起きた見たいに揺れていた。こんなのを私の顔面に少しでも届いていたらと考えたら背筋がゾッとし鳥肌があり得ないぐらい出た。
「あれ?お...俺の腕がぁ!?ちっ...だが腕が一本失ったところでこの俺が止まるわけにはいかねぇ!まだ左手と足が残っているからなぁ!この攻撃が当たればてめーはジエンドと言ったところだなぁ!」
「ならその残ったところも全て切り落とせばいいでしょ?やるならもっと本気で来ないと私を止められないよ。」
その言葉に激情し、さらに鋭く思い攻撃を仕掛けてきた。が、突然天から声が響き渡った。
「いつまでこいつと遊んでいるんだ?」
そこに現れたのはプロフェータ・ハイドレィンジァに似た赤黒い翼と紋章の目がある。その見た目は黒髪で七三分けをしていて服装はカジュアルなスーツで前を開けてありネクタイをしていない。色は黒で中に着てるシャツは白色だ。ズボンも上下を合わせた黒色を着ているようだ。一人目と違い最初の印象は普通で真面目に見えた。
「何しに来たんだよぉ!?俺の説教でもしてきたのかよクレープス・ラディースヒェンさんよぉ。」
「いえ、アトラス様から命令が下されたので一回天界に戻っていただけるとありがたいです。」
急に現れては急に会話を始め、私は困惑になりながらも叫ぶように
「その前に上羽達は一体どこへやった?」
と言った。それを反応した二人が
「あぁ、上羽以外興味がありませんでした。その辺でゆっくりと寝ていると思いますよ。」
と何やら不穏なことを語った。
「なんでヒメシロとむっつーは狙わないんだ!そしてどうして私だけ狙うんだ!」
それを言うと相手が冷静な声を出して
「アトラス様からの伝言によると、『この二人は運命に導かれた絆の戦士だ。これ以上成長を続けるともしかしたらこの俺を超えるかもしれん。しかし、今更ヒメシロ一匹だけじゃ毒にも薬にもならないだろう。なら上羽だけさらえばそれで任務は既に完了したのも同然だ。』...と。つまり返して欲しければわたしたちに住む『堕ちた天界』へ行く必要があります。しかしあなたはその移動手段を失った。そして残念ながらヒメシロは未熟なためまだ一人しか移動できないのです。つまりあなたは詰みということになります。惜しかったですね。」
と丁寧に説明をさせてもらってしまった。私は悔しい思いをしながらやるせない気持ちを抱きながら納刀した。そしてむっつーたちを見つけて、今まで起こったことを詳しく話した。
「~ということなんだ。色々質問したいことがあるけど、あの真面目そうな人が言っていたけど、ヒメシロってもしかして一人分しか移動できないの?」
そしてヒメシロからこんなことを言われた。
「う...実はのう、様々な世界へ移動できるのはいいのじゃが、わらわは丁度一人分しか移動できなく手のぉ。多分奴らはわらわのことを知っておる奴だぞ。しかし、マダラが複数人移動出来るなんで初めて知ったのじゃ。どうしてなのじゃ?一体どこにそんな力を隠し持って居たのじゃ!?」
私は少し疑問に思いヒメシロに質問をした。
「?それってどういうことなの?あなたたちは幼馴染だから関係が深いと思うけど私はまだ出会ってから少ししか経ってないからわからないのだけど...」
「今から説明するから耳から火柱が出るぐらいの勢いでしっかりと聞くんじゃぞ!」
と言ったので真剣に聞くことにした。
「ちょっと前まではまだわらわと同じ一人しか世界を移動できないのじゃ。確か『ぼくのちからじゃまだたくさんのひとをせかいにいどうできないからはやくいちにんまえになってぼくのしめいをはたすのー』っと言っておったな。懐かしいのぉ。おっと感情に浸っている場合ではなかったな。つまりいつの間にか成長をしよった。ということになるのじゃ。」
なるほど...と私は納得をした。でも何で急に成長をしたの?とさらに畳みかけるように質問をする。
「それには...わらわにもわからぬ。きっとそなたとのまるで固結びのような強い絆で結ばれておるんじゃろ。知らぬけど。」
と柔らかい言い方をした。そして私は未だに眠っているむっつーを抱えながらこの場を後にした。
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