禁書と陰陽師 ―霧月に眠る血―
第四章 「禁書と陰陽師 ―霧月に眠る血―」
それから私が皆の分を料理した。もちろんデザートに饅頭も用意してある。しかも全部私の手作りだ。
「お待たせ!今日はたくさん作ったよ!このアヒージョと秋刀魚の塩焼きだよ~」
「あたしの予想外れちゃった...でも美味しそうだよ!いつもあたしのために作ってくれてありがとうね!」
「うちの希望したものは出なかったけどこの黄色いスープみたいな奴は美味しそうだな~」
「ふん!わらわは全部饅頭かと思ったのじゃ!」
「ところでヒメシロ...だったけ?食事ってする?」
「人間の姿になれば食べれるようになれるのじゃ!人間に変身するとエネルギーをたくさん消費するから食べないとダメになるのじゃ!」
「そうなの~ぼくたちはにんげんのすがたになるとすいみんがひつようになったりいろいろふべんしちゃうの。」
「そうなんだ。大変そうだね。じゃあたくさん食べてよ!私の自慢の料理だから!」
「その前に人間の姿をお見せするのじゃ!」
「わかったのー」
天使たちが人間態に変身した。正直初めて見たかもしれない。異世界に行っていたときはほとんど蝶の姿をしていてサポートしてくれたからそんな機会がなかったから人間態がどんな姿が私はワクワクしていた。すると辺りがピンク色に光り出して私は目を閉じた。そして目を開けたらそこには見知らぬ人間がいた。
「えへへーこれがぼくたちのにんげんのすがただよ~」
「どうじゃ!よく見てもいいんじゃぞ?ほれほれ!」
ヒメシロの人間の姿は小柄な少女で陰陽師のような見た目で黒髪ロングだ。いかにも和風な感じの服をしていた。そして瞳の色は美しい赤色だ。上羽の見た目は小柄な少年で髪の色は赤髪と金髪で青色をしたショートパンツを着ていて服はピンク色のロングコートをしていた。なんとも特徴のある服装だ。まるでファンタジーをこの目で見ているようだ。この人間態を見ていた私たちがすぐさま反応をした。
「うちこんな感じのファッション好きだよ~ 元居た世界だと普通にこんな感じの人たちがいるからうちは違和感なく感じるよ~」
「あたしはこう...なんていうかわからないけど嫌いじゃないよ!こう不思議な感じがしてより好きになれたよ!」
私はというと、初めて見た上羽とヒメシロの人の姿に少しドキドキしていた。ただその感情は置いといて私は皆の分のご飯をよそった。そしてご飯を配り終えたら一緒に食事をした。ごはんを食べている途中で上羽とヒメシロたちが少し真剣な表情で話をした。
「それで結局アトラスというやつはどうしたのじゃ?」
「うーん...このせかいにいるってあきともからじょうほうがきたけどそれいがいはまったくじょうほうがないのー...」
するとアメリアちゃんが反応し、小声でこう言っていた。
「アトラス...うちの氷魔法は絶対のはずなのに...どうしてなの...?」
さらにむっつ―も反応し、不思議そうに言った。
「その...あたし気になっていたんだけどアトラスって誰なの?知り合い?」
そして私が答えた。
「ある意味私が異世界へ行くきっかけになったものだよ。上羽とヒメシロと一緒の天使だったんだけど堕天使になったんだ。見た目は蝶?というより蛾に近いよ。」
とむっつ―に向かって説明をした。
「へ~すごいね!あたしも異世界行きたかったな~...でもアメリアちゃんがここにいるからある意味異世界の気分を味わえているよ!そのアトラスって必殺技とかあるの?あたしの予想は跡羅素墓素ラッシュだと思うなぁ~」
「その必殺技はダサいと思うよ...むっつー...」
と必殺技のことを完全にスルーした。そして思い出したように上羽がこんなことを言った。
「そーいえばどうしてヒメシロちゃんあんなにぼろぼろだったの?なにかりゆうでもあるの?」
「わらわは...確か赤茶けた蝶から突然攻撃されて...あれ?あまりおもいだせないのじゃ?」
「その特徴のある蝶って、私なんか察したけどもしかしてアトラスのこと?」
「そーじゃのー。もしかしたらわらわはアトラスに攻撃されて何かの記憶を失っていた気がするのじゃのぉ...」
「もしかして上羽が記憶を失っていたのってアトラスから攻撃を受けていたということなのだろうか?どう思う?上羽。」
「うーん...ぼくはあのときはねのところがすこしいたみをかんじたの。でもどんなこうげきをされたのかいまでもあまりおぼえていないの。」
「そうなんだ...でもそれで十分だよ。上羽。」
異世界に行った時の思い出や上羽とヒメシロに関する記憶など会話が終わり、気が付くとすべて食べ終えて食器を片付けて、台所で上羽と一緒に食器を洗っている時にふと疑問に思ったことを上羽に伝えた。
「ところでさっき私の住んでいる世界にアトラスがいるって本当なの?」
とすると上羽が大きく頷いてこう語る。
「うん...しょうじきこのせかいがどうなるのかわからないの...できればあなたをまきこみたくはなかったの...」
私はただ一言だけ上羽に伝えた。
「たとえ私の世界が巻き込まれても、上羽の力があれば何とか出来るよ。私の血で...この世界を救いたい。だから上羽の力をこれからも使っていきたいな~って。」
上羽が嬉しそうに抱きしめてきた。それを見ていたヒメシロが恥ずかしそうにこう言った。
「ちょ...何なのじゃこれ!?まだわらわにも体験したことがないことを平気でしおって...」
そういえばふとヒメシロとむっつーって変身出来るの?と疑問が走り質問した。
「むっつ―との関係は?」
「ど...どんな関係じゃと!?まだそんな関係になっておらんわ!」
とヒメシロが紅潮しながら言ってきた。
「いや、そうじゃなくてヒメシロとむっつ―で変身できるの?」
「多分変身できると思うのじゃ。まだ試してないから後で試すとするのじゃ!」
「へ~ ぼくたのしみにしてるよ!」
と言って上羽たちは台所を後にして部屋に戻った。私は食器の水を切ったりして片付けてからむっつーとアメリアちゃんの部屋に戻った。そこには変身が解け蝶の姿になった上羽とヒメシロの姿がいる。
「では早速霧月じゃったか?変身を試すのじゃ!」
「あたしなんか緊張してきちゃった...すごい鼓動がなってるんだけど。」
「ではこう唱えるのじゃ!『銀河(てん)までぶっ飛べ!光輝く陽光』...早速やってみるのじゃ!」
「えーと...(銀河(てん)までぶっ飛べ!光輝く陽光)」
すると辺りがピンク色と白色にひかり一瞬のうちに変身が完了した。私と同じくノ一のような姿になった。見た目は袴なのは同じだけど白色のワイドパンツになっていて上半身は私と全く同じのパーカーを肩に掛けていてその中の服は私と違って赤色の和服に変わっている。そして髪の毛が白くなり、美しく輝いている。
「うわ!あたしショートボブなのにポニテになっているんだけど...あれ?ヒメシロはどこ?」
「わらわは今お前の後ろにおるんじゃぞ!」
「もしかしてポニテになったのもヒメシロが髪留めになって支えているから?」
「その通りなのじゃ!偉いじゃぞ?いくらでも褒めるがよい!」
「わぁーすごいの!ぶじにへんしんできたの!」
「むっつーさんすごいなぁ~見た目がガラッと変わっているよ~」
「これがあたしに眠る血の力...なんか燃えてきたよ!今なら何でもできる気がする!...ところで右手にある棒はなに?」
「その武器の名は金色に染める棒 『如意棒―混沌-』というのじゃ!」
「へ~ そういえばこれどうやって解除できるの?」
「ただシンプルな方法で『解除』と唱えると自動的に解除できるのじゃ!さぁ、やってみるのじゃ!」
そしてむっつーが変身を解除した。いつもの見慣れた姿になっていた。
「すごかったよわたっちー!あたしすごい興奮しちゃって...こう、魔法少女?みたいな奴あたし大好きだよ!」
「でも私が異世界にいるときはもう大変だったよ?色々と...」
そして上羽とヒメシロたちが突然真剣な表情になりヒメシロこう話した。
「突然じゃが、アトラスとあの禁書の場所がこの世界に紛れ込んだという情報が入ったのじゃ。わらわたちはそいつを追っているのじゃ。でも大丈夫なのじゃ!さっき変身できることを証明出来たのじゃ!みんなの力を合わせれば奴を倒せれるのじゃ!」
そこでむっつーが
「そんなにやばいの?アトラスとかという蛾?みたいな敵は」
そこでどれくらいやばいというのかを異世界に行ってきた私が説明した。
「アトラスは持つだけで不死になり、さらに願いを叶えることを出来るけどその代わり世界が滅びるかもしれないという禁書を持って逃げられてきたんだよ。まさか私のこの世界にいるなんで思わなかったけど...」
「... わたっちーさぁ、その敵倒せれるの?」
私は何も答えずにただ黙るだけだった。そこに上羽が
「いざっとなったらぼくたちがなんとかするからだいじょうぶなのー。こうみえてもてんしだからなのー!」
それから私たちはこの堕天使をどうやって倒すのか?を考えながら風呂に入り、明日に備えてしっかりと睡眠をした。不安を抱えながら...
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