新章 「現実世界の話」
現実世界の話
第一章 「白色の饅頭と白い羽」
朱林寺山という場所の中で朝を迎えた。と言いたいどころだけど今はまだ暗い。ちょっと変な時間に起きてたので神社の掃除でも行ってこようかなと思い饅頭を持ちながら外へ行った。その途中で上羽と会話をした。
「あとらすはいつあらわれるんだろうなのー?」
「それよりも元の世界に戻ってから疑問に思ったけど、あなたの本当の名前って『マダラ』って言うんだね。でもなんで忘れていたの?」
「なんでだろうなのー?」
そんな会話を続けていると、突然時空が切り裂き誰か出てくる。見覚えのあるシルエットだった。
「秋朝...日廻梨?その蝶の名前知ってるの?あ、ちょっとかじっちゃたけどこの饅頭食べる?」
「...この世界にアトラスが潜んでいるということが分かったんだ。突然ですまないけど君に協力してくれるかな?」
「その前にアトラスのことを少しだけ教えて欲しい。一体どんな天使だったのか全然わからなくて...」
「天界に住む蝶の形をした天使がたくさんいたけど、その中でアトラスが人間に恋をしたという何気ない行動のために堕天使になった。僕はその蝶を探しているんだ。でも僕はその蝶に触れることすら叶わない。すでに天使という存在から別のものになろうとしている。早く止めないとこの世界が大変なことになる。」
「じゃあ今度は上羽...じゃなかった。マダラはどんな天使なの?」
「あぁ、正式名所は『神訓蝶マダラ』というんだ。人を導く神の訓えの蝶という意味の天使だけど天使としては幼く、幼馴染といつも一緒にいたんだ。だけど君との出会いのおかげで、少しずつだけどマダラの隠された力が解き放とうとしている。過酷な戦いになるだろうけど、君に協力してもらうよ。」
「...え?それってどういう意味?私のおかげでどんな力が隠されているの?」
「それは...」
さりげなく重要な話題を最後まで聞こうと思ってまずはなぜ上羽が名前だけ記憶を失っていたのか、上羽の隠された力はどんなのか、というのを質問しようと思っていた瞬間、草からすごい大きい音がしたので秋朝に少し待たせてから草むらへ向かう。
「誰!?」
するとそこにいたのは蟹守霧月だ。緑色のショートボブが印象的で日焼けした姿がとっても元気を与えてくれる私の友達だ。あだ名はむっつーという。
「あたしわたっちーが一週間も大学に行ってないから不安してたから今すっごい安心したよね!」
「え?もう一週間も経っているの?あっちの世界だと大体3日ぐらいしか経ってないのに?」
「? なんの話をしてるの?」
「い...いやこっちの話だよ...(よく日本が朝の時はアメリカの方は夜っていうコトがあるのと同じことかな?)」
そしてむっつーが秋朝のことに気が付き、その存在感から圧倒されそうになっていた様子があったけれど途中から気にせずに色々話しかけていた。
「ここに来る途中にあたしが拾ったやつなんだけどこの蝶治ると思う?」
「君は...そうなんだね。じゃあちょっと待っていて。今から治すから。」
霧月の手のひらに乗っていたのは純白の蝶だった。しかしこの蝶、羽がボロボロになっていて一体どうやって飛んできたんだろうということを考えていた。すると秋朝がそっと手を置いている。
「あ...あれはもしかしてかみのだすしんらばんしょうのちからなの...?まさかここでみられるなんで、なんでラッキーなの!?」
どうやら蝶にしか見えない光らしい。私たちには全く見えない。すると秋朝が
「君にはまだ大切な役割がある。ここで失うわけにはいかない。それにしてもヒメシロは無茶ばっかりするねぇ。見ているこっちがハラハラさせるよ。」
と独り言のようにしゃべりながらだんだん傷が治っていく。その過程を見ながらむっつーが
「わぁ...凄いよ!全部治っている!誰が知らないけどありがと!」
お礼を言いその蝶を大切に持った。すると秋朝が何やら意味深なことを口にした。
「じゃあ僕はそろそろ帰るからあとは頼んだ。それとその蝶の名前は『女媧蝶ヒメシロ』という天使だよ。多分君に惹かれてここに来たんだろうね。」
と言いながら秋朝は煙のように消えていった。
「この蝶にも名前があるんだね。これからよろしく!ヒメシロちゃん!」
という元気な声を出しながらその白い蝶を気に入ったみたいだ。そして私は
「結局この饅頭食べてくれなかった...あ、むっつーこれ食べる?」
「いや、大丈夫。さっき朝ごはん食べてきたから。それよりも早く行かないと遅刻するよ。でもあたしは忘れ物してきちゃったから先に言ってて。」
それから忘れ物を取りに行くためにいったん分かれた。それと私の勧めた好物を軽く断られたので喜んで饅頭を口にした。数分経ってもまだ美味しい饅頭に感動した。さすがは世界で一番おいしい食べ物だ。このおいしさを海外にいる両親に少し分けて世界中に広めたいなぁ。そういえば何か質問したいことがあった気がするなと思いながら2個目の饅頭を頬張りとても幸せな時間を過ごせた。
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