第2話:セックスに特化したセクサドール。

「完成した桃子と名付けられた子はラブドールなんだけど、これまでのラブドール

とは違っていた。


これまで作られたことがないAIが搭載された動くタイプのラブドールであり

セックスに特化していることからセクサドールって新たな呼称が生まれた。


桃子はセックスの際には人間の女性と同等かそれ以上の感触を持つ

表皮や性器、生殖器によって性的な反応や愛撫を返しながら人間の嗜好に応じた

性愛を満たすことができるようになっているんだって。

だから普通の人間の女子と遜色なくセックスすることができるようになっている。

いや、それ以上かもしれない。


さらにいいのは人間の女子と同じように感情まで持っている。

つまり泣いたり笑ったり・・・喜怒哀楽を持ってるってこと。


基本、ロボットと同じで人を傷つけたりしないよう制御されてるみたいだけど、

でも自分が危機に瀕した時は対処する機能もちゃんと搭載されてる。

たとえば暴力を振るわれた場合は防御システムが作動して相手を殺傷しない

程度の抵抗はできるようになってるみたいだ。

だけどヤリモク男とかだと大事なところを永久に使えなくされそうだ。


ゆくゆく大量生産が目的のため、まずはプロトタイプの桃子で性能を試そうって

ことらしい。

そのうち桃子のようなセサドールが人間の女性に変わって風俗で働くことになる

かもしれない。


まあ、そんな諸々のことはあとになって分かったことで、なにも知らずに

草凪 桃子くさなぎ ももこ」 の実験のターゲット「モニター」に白羽の矢が立ったのが

なにを隠そう、この俺。


俺の名前は「滝沢 俊介たきざわ しゅんすけ」某大学に通う学生、22歳。


なんでも俺が見るからにスケベそうだからと言うのと桃子自身が大勢の生徒の中

から俺を選んだらしい。

桃子にとって俺の顔はマストだったらしい。


スケベそうってのは心外だが、彼女「桃子」はいい選択をしたと思う。

女に興味のない男をターゲットに選んだって意味ないからな。


で、俺がまんまと引っかかったのが大学のメンバーとの飲み会。

その飲み会で俺はドジなことに騙されて罰ゲームを受けなきゃならなくなった。

メンバーがハッピードールから金を貰っていて全員グルだったみたいだ。


その罰って言うのが女の子に「付き合ってくれ」って告ること。

しかも、相手に「うん」って言わさなきゃ罰ゲームはクリアできない。

断られる確率のほうが高いだろ?

もし万が一付き合ってもらえたとして好きでもない女が自分の彼女になるなんて

抵抗あるだろ。


だけど罰ゲームをクリアしないと絶交だって言われるし以後、飲み会にも誘わない

って言うし・・・。

まあおネエちゃんに声をかけることに抵抗はなかったから言われたことを実行に

移すことにした。


で、それにはまだ条件があって告る相手が決められてるってこと。

女なら誰でもいいってわけじゃない。

まあ、男に告れって言われてるわけじゃないから、まだマシだけどな。


で、俺が告る相手は最近この大学に転入して来たばっかだって言う・・・。


それが「草凪 桃子くさなぎ ももこ


俺は草凪 桃子のことは、まったく知らなかったわけじゃなかった。

学内で数度見かけたことはあって彼女の印象はめちゃ可愛いじゃんって思った

ことと、なんと言っても圧倒的におっぱいがデカいってことだった。

だから、この子が彼女だったら、おっぱいにダイブできるのに、なんてバカなことを思ったりしたもんだ。


だけど、そのくらいで桃子のたいした情報はない・・・ダチでもない女に告るのか

って思ったけど、彼女のビジュアルは学内でもダントツでトップクラス。

もし落とせたら儲け物・・・だけど向こうに俺の情報がないんだからいきなり告ってもまず無視されるのがオチ。


断られるって分かってて告るのなんて、なんて意味のないアホな罰ゲーム。

そんなだから俺は躊躇ためらっていた。

俺がなかなか桃子に告らないもんだからメンバーの数人から催促された。


「俊介・・・なにもたもたしてんだよ、早く告れ」って。


そうだよ、みんなで笑うつもりなんだ・・・俺がみごとに桃子にフラれて恥をかくのを見てバカにするつもりなんだ。


つづく。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ペッシュ・プラット。『セクサドールは男の夢を見ても電気羊の夢なんか見ない』 猫野 尻尾 @amanotenshi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画