第10話 朝チュン?


 ここは廉也の家、寝室だ。

 いつもと同じ部屋。でも、いつもと違う。


 いつもと違う人がいるから。


 朝、ベッドの上で廉也は目覚める。


(眠いけど学校もあるし起きなきゃ……。あれ、この感触は?)


 柔らかい感触がふにゃっとする。

 真夜が寝ぼけて、ベッドの上で廉也に抱きついていた。大きな胸の柔らかさが、廉也の胸板に押し当てられている。しかも、廉也の右手は真夜の胸に重ねられていた。


(わ、わざとじゃなくて……!)


 心のなかで言い訳をする。


 真夜は同い年の15歳なのに、まるで大人のグラビアアイドルみたいで……しかも、胸の谷間もちらりとシャツから見えている。


 手に真夜の胸の暖かさと柔らかさが伝わってくる。

 廉也は思わず手に力を入れかける。今、真夜の胸を揉んでも誰も気づかない。


 そんな邪念を廉也は振り払った。真夜なら嫌だとは言わない気がする。


 けれど、たとえ真夜がいいといっても、そんなことをするわけにはいかない。

 廉也はそっと手を放すが、相変わらず真夜は廉也に抱きついたまま。


 悶々としていたら、真夜がううん、とうめく。


「二条くん……?」


 真夜は自分が廉也と密着していることに気づき、目が完全に覚めた様子で慌てて飛び起きる。


「ご、ごめんなさい……!?」


 真夜の着衣は乱れていて、シャツの裾からは白い太ももが見えていて、扇情的だ。

 寝ているときよりも谷間は大きく見えている。


 廉也は目をそらした。

 見ていたことを気づかれなかっただろうか。

 照れ隠しのように言う。


「いや、謝らなくてもいいよ!」


「でも、ご迷惑をおかけしちゃいました……」


「迷惑というよりむしろご褒美だし……」


 つい思ったことを口にしてしまう。失言だと気づいたが、もう遅い。頬が熱くなる。

 案の定、真夜はにやにやと笑っていた。


「へええ、ふうん……。わたしのハグはご褒美なんですね?」


「変な意味じゃなくて……頼られているみたいで、ちょっと嬉しかったんだよ。無意識でしたんだろうけど」


「なら、今度は起きているときにしますね♪ 一緒のベッドで寝てくれたお礼です」


「神城さんは恥ずかしくないの……?」


「ちょ、ちょっぴり恥ずかしいですけど……これもメイドのお仕事ですから!」(真夜が胸を張る)


「いや、絶対にそんなメイドの仕事はないよ!?」


「メイドのお仕事といえば、二条くんが持っていたメイドの本、貸してくれませんか?」(1話の本を回想)


「あ、あの本!?」


(貸すのはちょっと恥ずかしいな……)


「ええと、あれなら読み終わったから、昨日本棚に戻したはず……」





<あとがき>

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重版した『美少女皇女と結婚』もよろしくです!

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