第5話


(か、神城さんと同じベッドで寝る!?)


 廉也は真夜と抱き合って寝ている妄想をして、もっと過激なことも思い浮かべていた。

 年ごろの男女が一緒に寝るというのはそういうことで……。


 真夜はどこまでわかっているのかわからない。が、目を伏せて悲しそうに言う。


「ダメ……ですか? わたしなんかと一緒じゃ嫌ですよね」


「そ、そんなことないよ! むしろ俺は嬉しい――」


 しまったと廉也は思う。

 これでは真夜と一緒に寝たいと言っているようなものだ。真夜がぱっと顔を輝かせる。


「ほんとうですか!?」


「でも神城さんも男と一緒のベッドなんて困るんじゃ……?」


「いいえ。二条くんはわたしを助けてくれたかっこいい男の子ですから」


 真夜は真剣な表情で言った。

 本心から真夜は廉也と一緒のベッドで夜を明かしてもいいと思っているのだろう。なにかされるなんて思いもしていないのか、あるいはされても良いと思っているのか……。


「そ、そうだ! それより、お腹空いていない? 遅い時間だけど何も食べていないよね?」


「逃げましたね……?」


 廉也は目をそらす。逃げたのはそのとおり。

 でも……。


(神城さんと一緒のベッドなんて、俺が緊張して眠れないよ)


 今は睡眠欲より食欲だ。落ち着けば、真夜も考えを改めるかもしれない。


「ともかく、簡単な料理なら作れるからさ。得意なわけじゃないけど、材料もあるし」


「あっ、それならわたしが作ります! メイドですし」


「あ、ありがとう。でも……神城さんって家事は得意なの?」


 根本的な疑問を廉也は口にする。廉也も屋敷では家事なんてあまりしたこともないし、だいぶいい加減な性格だ。ただ、それでも一人暮らしには結構慣れてきた。

 けれど、真夜はお嬢様育ちのはずだ。家事なんてしたこともないかもしれない。

 

 案の定、真夜、ギクッとする。


「も、もちろんです!」


 えへんと真夜が胸を張る。真夜の大きな胸が強調された。クラスで一番胸も大きかったような気がする。

 廉也はつい目で追ってしまい、赤面する。気づかれなかったか、気になった。


 今はそれより、問題は家事のことだけれど。


「ほんとに……?」


 真夜が頬を膨らませて、ぷりぷりと怒る。不本意、と顔に書いてある。


「疑うなんてひどいです。試しにわたしの家事無双を……きゃっ」


 真夜は歩き出そうとして荷物につまずく。こてんと転んだ。廉也は慌てて手を差し伸べようとして、気づく。

 後ろ向きになった真夜は……スカートがめくれ、白いパンツが丸見えになっていた。

 




<あとがき>

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