第39話 俺の家来る??

期末テストも終わり、夏休みになった。


昔は学校が苦痛で苦痛で仕方がなかったのに、今では夏休みの方が苦痛である。

ゴールデンウィークでも苦痛だったのに、もっと長いなんて。


図書室の時間はないし、友達との会話もないし。


姉の方と個人ラインをしているのはいいが、グループラインでの話題無くなっている。

おそらく他のペアも個人ラインやっているから、グループラインが盛り上がらないのかな。


とりあえず、ここ1週間は、リサとゲームして、アニメを見たって感じか。


アニメもゲームも楽しい。

でも、何か満たされない。

いきなりボッチになった気分だ。


「あ〜〜暇だな〜〜」

「せっかくですから、お友達を遊びに誘ってみたらどうでしょうか??」

「それはまだ俺には早いな。 断られたら、性処理のお時間になりそうだぞ」

「では、今すぐに誘ってはどうでしょうか?」

「遠慮しておくよ」


そんな中、奇跡も起こる。


学校の近くで開催される、『お祭り』兼『花火大会』にグループトークで誘われたのだ!!


もちろん行かせていただくことにした。


そんな中、珍しく妹の方からもラインが来た。


「プール嫌い?」

「いじっているのか?」

「違うよーー!! 随分前に券貰ったんだけど、行かないともったいないし!!」

「俺でいいの?」

「陽菜ねー仕事でさ、友達もそこまでいく人いないし」

「嫌じゃなきゃ行くけど?」

「じゃあ、行こう!!」


普通プールに男子を誘うものなのかな??

ラブコメとかだとエロイベントじゃね??

あ。妹かーーーー。

無意識に水着回くれるの??


まあ、断る理由が見つからないので行きますけどね?


おおおおおお!!

これはきたぞ??


花火大会で、姉の方の浴衣姿を見れるぞ!!

プールで妹の方の水着が見れるぞ!!



さすがだ。

編入したからな!!

人生行動してみるものだな。



と思っていたら、1週間、夏風邪をひきました。

そして2つの予定をキャンセルになりました。


なんでこんな時に風邪なんか引くんだよ……


ああ。

せっかく、夏休みが……

2週間潰れたぞ……


姉の方と友達と楽しく過ごそうと思ったのに。


そして何より、大切な大切な水着を見る機会を失ってしまった。

これは反省だ。



とりあえず、妹とは結局連絡しなくなってしまったな。

学校のことでの話題もないし、クラスも違うし。


姉とはまあ、ラインは続いているか。

と言っても、そこまでの盛り上がりはないが。

仕方ないよな。

4月からずっと続いているんだから。


風邪ひいている間は、リサが料理を作ってくれたりと面倒見てくれたのはよかった。


唯一困ったことは、

「風邪でたまっている頃と思われるので、そろそろ性処理を」

「いいから!!!」

というやりとりであった。


「でも、わたくしの見ている動画では、看護師が脱がせて看病してましたけど……」

「多分それ普通のビデオじゃないと思うぞ」

「え。わたくしは一体何を見ていたのでしょうか」

「知るか!!」


まあ、そんな馬鹿なことをしていたおかげで治ったから感謝しておこう。


とりあえず、体力回復を兼ねて今日は走ろう。


本当は、早朝とか深夜とか人のいない時間に走りたいのだが、少しは人目に慣れないとなと思い、昼に走ることにした。


少年漫画によくある、夏休みの修行編的なものである。

ジムでもいいが、外の方が修行になるであろう。


俺にとっては、大きな一歩なのである。


2学期では少しづつ成長していきたいしな。


久々の外は広かったし、夏なので日差しが痛い。


しっかり部屋で準備体操してきたのでそのまま走る。


人を抜くときに、目線のせいで、少し体が硬直したが、学校の廊下と思えば少し硬直度合いを減らせてきた。

少し成長したな。


軽く9キロ走った。体の方は大丈夫そうだ。

今日の目標は10キロ。

あと1キロだ。


もう少しで家と思ったら、急なゲリラ豪雨を喰らった。


え。寒いんですけど。

風邪ひいちゃうじゃん!!

俺……なんか悪いことした?


最近、運悪すぎない?

きっと後でいいことがあるはずだ。


ダッシュで帰って、なんとかマンションの下までついた。

入ろうと思ったところ、結構人が集まっている。

どうやら、みんな雨宿りをしているようだ。


マンションの住人ならいいが、見たこともない人が多いのはきついな。

早くロックを解除したいが、人前を通るのが嫌なんだ。


頑張るか……


冷や汗をかきながら、人混みの中に入ってエントランスに向こうと、どこかで見た二人組が見えた。


早乙女姉妹???


いやいや。 

とうとう心の奥底に眠る、会いたい気持ちが幻覚になったのか。


「え、うっそ〜!! お〜い 月城く〜ん!!」


手を振りながら姉が近づいてくるぞ??


「あ、ほんとだ やっほーーー!!」

妹の方も手を振りながら近づいてくるぞ?


幻聴まで聞こえるぞ?


もしかして、これは夢で、走っているときにどこかで俺は倒れていたのか?


目の前にいる二人組が揃ってじーっと俺を見てくる。


あまりに反応しないでいる俺を不思議がり、姉の方が俺を人差し指で押した。


「どうしたの〜〜?」


「え。本物!?」


「何それ〜〜面白いね〜〜!!」


「い、いや……走っていたら、雨に降られまして……この状況だ」


「わたしたちも、そこのデパートに買い物に来ていて、傘はあったんだけど、流石にこれでは防ぎきれないから雨宿り中〜〜」

「すごい雨だよねーー!!」


「そうだったのか。この季節の天気は読めないよな」



「くしゅん」

「くしゅん」


双子が同時にくしゃみをした。


流石に面白かったのでニヤニヤしていたら、『どーーーん』という爆発音が聞こえた。

びっくりした。

舌噛むところだったじゃねーか。


雷か。

誰か屁をこいたのかと思ったぜ。



姉妹は揃って、体を縮めて、怖がっている。

意外と2人も可愛いところあるんだよな。


さて、どうするか。

本当はしたくはない。

今後の付き合い方が変わるかもしれない。

ただ、放っておくことはできないな。


二人とも風邪ひきそうだしな。

夏風邪は恐ろしいからな。


「あ、あのさ……」


「ん?」

「ん?」


「俺の家…で雨宿りする…?」


さすがにキモいか?

男が女の家に行くのと女が男の家に行くのは違うもんな。


「え、いいの!?」

「私もありがたい。近いの?」


「近いというか……ここ……」


「え」

「え」


二人とも、目を丸くしている。


これから俺を見る目が変わったりするのかな。

その驚き用だと、今までは金目当てではなかったのかな?

こっからハニートラップとか増えるのかな?

示談金とか取られるのかな?


「ほんとだって。ほら鍵」


「ええ〜〜!!月城くんてお金持ちだったの〜〜〜!?」

「びっくりすぎるーーー!!」


「まあ、そうだな。ありがたいことに」


「でもいいの? こんな高級マンションにわたし達でお邪魔して〜〜?」


「逆に誰ならいいのさ。嫌じゃないなら来なよ。風邪ひくと困るし。まあ、すぐに雷は終わるとは思うけど、部屋の方が怖くないでしょ? ロビーでもいいんだけど濡れているからね。俺の場所なら汚しても、大丈夫だから」



「じゃあ、お邪魔する? 深月ちゃん?」

「うん……。でも、いいの?」


「いいよ。俺も早乙女家でお世話になったし。ただ、汚いし、何もないから楽しくはないよ?」


「ありがとう〜〜!!」

「ありがとうーー!!」


ということで、2人が俺の家にやってくるぞ??

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