第37話 二股男は大変なんだな
今、俺は超絶に困っている。
初めて、この2人を相手にしなければならないからだ。
今までは、片方寝てたり、勉強していたりと意外とバラバラだったな。
てか、自意識過剰ではあるのだが、どこまで情報をシェアしていいのかな??
双子だから全てシェアしていると思うほど浅はかではない。
経験論からな。
俺も一応双子だからな。
高校生になったら、秘密の一つや二つがあるのは当たり前だろ。
まあ、男と女、一卵性と二卵性で違うからよくわからないが。
姉はおそらく、俺と妹はファミレス行ったり、図書室で話したりしていることは知っているだろう。
妹はおそらく、俺と姉は同じクラスだからそれなりに関わりがあることは思っているだろう。
まあ、病気のことは知らないか。
二股して悩んでるクソ男みたいな感じになってきたな。
何を考えているのか俺もわからなくなってきたぞ??
別にシェアしていても、していなくても変わらないんだが。
あの二人にとって、俺はただの『男友達』だから意識する必要ないんだけど、何かな。
俺の心の問題か。
遠足で、妹と中華街で遊び、姉ともあまり記憶がないが遊園地で遊んでしまったことが、浮気した感じなんだよな。
俺は二人に気持ちがあるのか??
もちろん大切な存在ではあるが。
二人にとって大きなことでもないし、いいか。
何も問題は起こらないか。
どこかで2人の関係性がわかればいいんだけどな。
とりあえず、行き当たりばったりで乗り切ろう。
勉強会が開始された。
机を挟んで二人が座っている。
面白いことに、俺からみて、左側に妹がいて、右側に姉がいる。
定位位置かなんか決まってんの??
勉強会ということあって、妹の方は黙々と勉強している。
学校のレベルは完璧ということであろう。
やっている内容は大学レベルの数学と数学オリンピックをやっている。
よほど、前回のが悔しかったのであろう。
そんなものは一朝一夕で身につくものではない。
ただ、一生懸命やっている。
本当に尊敬する。
やっぱり努力をする姿はいいな。
「でも、誰なんだろうね〜? 数学で150点取った人〜〜〜」
姉がわざとらしく聞く。
おいてめえ。
その話題は危険だろ……
「よ、よほど数学が好きか、たまたま問題知っていたやつがいるんだよ……」
「きっと、そうかもね〜」
「私も気になっていた。まあ、今回は負けないつもり。でも、量が多すぎて、この短期間では身に付かないよ……」
姉の方が目で俺に合図をした。
ああ。
家に呼んだのはそう言うことね。
わかったよ。
「そ、そいつはさ、たまたま当たった可能性があるんだろ? ならヤマを貼るとかはどうかな……」
「でも、範囲が広すぎるんだよ……」
「でもさ、部分点を狙わせる目的もあるから、とっつき易い問題の可能性が高いんじゃないか……こないだは整数だから、確率が怪しいとか……」
「それもそうか。初めから全部は難しいし。でも、確率とか出なかったら……」
「逆に確率が出たら正解できる状態で望めればいいんじゃないか? どうせ前回のやつもそんな感じだろ……」
「そっか。そっか。そうだよね。 一気に全範囲は難しいし。どれがいいと思う?」
「確率の乗っている問題を全部やるんでしょ?」
「そうだよ。でも、その中でも、ヤマ貼りたいじゃん!!」
「別に、俺じゃなくても……」
「そんな真剣にならなくてもいいよ! 遊びみたいなものだから!!」
「あ、そうか」
妹の方があまりにも真剣だから、こっちまで結構真剣に考えてしまった。
ただ、一応俺の予想できる範囲のことはしてやるか。
「これかな?」
「いいの選ぶね!」
「そうか? いい加減だぞ」
「いやいや。 これっけこうあり得そう……。だって、初めはやりやすくて、でも途中から急に難しくなって、最後には大学の範囲を使う。先生の好きそうな問題だよ!!」
「『どれにしようかな』で選んだだけだぞ? どうせ、問題変えて来そうだなしな」
「あ、そうだった……」
「あの先生だったら、俺はよくわからないけど、そこの数式のnを整数じゃなくて、自然数に変えて、場合分けを多くするとかあるんじゃね?? 知らんけど!!」
「でも、それ、あり得ない話ではないかも。 絞り込む時にすごく厄介になりそうだし」
「勘だからね?」
そんな妹との会話を、姉はただ黙って聞いていた。
やっぱり、姉なんだな。
「わかってるよーー! それより、大丈夫なのそっちの勉強は」
「な、なんとかな。 早乙女さん教えてもらうから。自分の勉強してなよ」
「私も、早乙女だよーー?」
「そそれは、そうだけどさ……。流れとかで理解してよ……」
いやいや。
今まで姉の方とか妹の方とかで区別してたけど、それはさ、今まで片方づつだったからで……
「さっきからそれ、わたしも気になってきた! わからないよね〜? 深月ちゃん!! ちゃんと呼んでくれないとね〜〜」
さっきまで、大人しくしてたくせに、急に来やがったな。
「うんうん!!」
「え、じゃあ、姉の方とか妹の方とかで区別するからさ」
「それじゃあ、ぶっきらぼう過ぎて嫌だよ〜」
「わかりにくいーー」
「そう言われましても……」
俺はこの話の結論は見えている。
ただ、ハードルが高すぎる。
「わたしたちにはちゃんとした名前があるんですけど、ねえ〜深月ちゃん」
「うんうん。忘れてないよね?」
「はい。もちろん覚えております」
「名前で呼んでくれれば、区別ついて楽だしね〜!」
「そうだねーー!!」
こうなることは、わかっていたよ?
気にし過ぎか?
まあ、ギリギリのギリで、双子だから名前で呼んでもいいだろうけど…
それは陽キャが許可されてもないのに、いきなり下の名前で呼ぶイメージだ。
鬼頭もそん感じだったろ?
えー無理無理。
「じゃあ、二人といるときはできる限り名前にするよ……」
「おお!」
「わお!」
一卵性双生児の謎の拍手がおきた
二人して俺をいじりやがって……
舐めるなよ?
俺はこの空間でも絶対呼ばないからな??
「と、とにかくだ、俺らは勉強するために集まった。べ、勉強をしよう」
「そうだね〜」
「それもそうか」
俺らは勉強に戻った。
これなら安心だ。
声を出す必要がない。
15分くらいたった。
とりあえず、妹にバレないように姉の方の課題を終わらせた。
とりあえず声をかけるか。
「ねえ、あの〜〜」
「……」
あれ。
集中していて俺の声聞こえてないのか?
「おーい」
「……」
絶対聞こえているだろ!!
これあれだ。 名前言わないと反応しないやつだ。
ふふふ
おバカだな。
俺様を舐めるんではない。
「早乙女陽菜さん。終わりましたよ?」
どうだ。これなら完璧だろ。
区別もしているし、反応しないわけにいかないだろう。
「……なんか違う。そうだよね?」
「うん。病院みたい」
えー。何その強攻突破。
どう考えても、条件満たしているよ?
「やり直し!」
「やり直し!」
「わかったよ…。二人が揃っている時は、こ、これからは、ひ、陽菜さん…と…み、深月さん…って呼ぶから…」
「やるね〜〜」
「…うん…」
二人でちょっと異なる反応するな!!
ただ、二人とも、少し顔を赤くするな!!
俺だって恥ずかしいんだから。
なんやかんやで、2時間くらい経った。
思ったより早く感じたな。
まだ、3分くらいの感覚だぞ?
居心地の良い空間だ。
「そういえば、ご飯どうする?」
「ああ。よくわからないからお菓子買ってあるし、俺は大丈夫」
「そんなんじゃダメだよ〜! わたしたちで作るから、みんなで食べよう?」
「疲れたーー!! ご飯の時間だーーー!!」
妹の方は何故か楽しそうに叫んでいるぞ。
「悪いからいいよ。俺の分は。あんま食べないし」
「そうなの〜〜??」
「そうだよ。陽菜ねー。月城くんは少食なんだよーー!!」
気のせいか。
そう思いたいだけか?
少し自慢げに、姉の方にいった気がするぞ??
「へ〜〜〜!そういえば、『クラスでは』、お弁当、いっつも少ないもんね〜〜」
ん?
二人が少しピリピリしてきたぞ??
俺の気のせいか?
二人とも、俺の情報ごときで威張ることはないぞ??
負けず嫌いな性格なのか?
二人揃うとどうなるの????
「それに、面白い飲み物を飲むんだよーー??」
「それならわたしも知ってるよ〜〜〜!!!」
ん???
なんか嫌な予感がするな。
俺の記憶が正しければだが……
「ガムシロドリンク!!」
「砂糖水!!」
あーーーーーーーーーーー。
やっちまったーーーーーー。
とにかく、一卵性なんだから揃えてくれーーーーーーー。
やっぱり、無理かーーーーーーーー。
「え」
「え」
いいじゃん。なんでも。ね?
糖分補給できれば。ね?
やめてくれーーーーーー。
二人して俺の方を冷たい目で見るのはやめてくれ!!!
なんか二股男がやらかした時に起こるやつだから!!それ!!
「と、とにかく俺はプリンが好きだ!!」
妹と決めたことだし、姉と同じ物だから満足するだろう?
「そうなんだ〜!!」
「そうだねーー!!」
何とか……収まったのか?
俺は一体何をしているのだ?
でも、これでわかったぞ。
この姉妹は仲がいいが、そこまでプライベートは話さないということか。
別に、俺のことは話しても、話さなくてもいいんだけどさ?
ただ、遠足のことは絶対にバレてはいけない気がするな。
なんかそんな気がする。
バレたら全力で逃げよう。
これでは、まるで二股を一生懸命に隠そうとしているやつではないか!!!!
二股男ってどうやって管理してんの?
すごくね??
いや。俺の場合一卵性双生児相手だから疲れるのか??
てか、俺二股してないし!!!!
「二人とも料理はうまいの?」
とにかく話題変更だ!
「え。自信はないよーー? ごはんとか交代で作っているけど!」
「大変だな」
「月城くんは一人暮らしなんだっけ〜〜〜??」
「うん……」
最近はメイドと二人暮らしとは言えねーーーー。
「たまに、食べにきなよーー!! 私たちも2人じゃつまらないときも多いし!」
「それいいね〜〜!!」
「まあ、いつかね」
社交辞令って反応難しいんだよな。
「そうだ! 料理対決しようよ〜〜〜!」
「いいねーー!! じゃあ、審判は月城くんで!!」
えーーー。
ムリムリムリムリムリ
なんて答えるのが正解かわからないから。
気まずくするの無理なタイプなんですけど。
俺は、負けヒロインを出したくないんだ!!!!
「いや…それはいいんじゃないか…」
「せっかくの機会だしいいじゃ〜ん」
「他の人に食べてもらわないと成長しないしねーー!!」
ということで、料理対決が始まるのか??
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